202話 あっと驚く造りだ
「うーん。ほんとにここに俺たち泊まるのか? 近くのビジネスホテルと勘違いしてない?」
「これは私もそう思っちゃうくらいだよ」
バスに揺られて俺たちはお世話になるホテルへとやってきた。建物を見て騒然。ここまですごいところだとは思っていなかった。
エントランスから煌びやかで豪華な感じがしてVIP御用達の三ツ星ホテルって感じしかしない。俺たち普通の高校生が来て良い場所なの?
集金では10万円くらいだったけど新幹線代とホテル代だけでここ10万円軽く超えそう。
周りの女子はインスタ映えしそうとかお洒落とか言ってるけどここは確かに自慢になるよ。
「ねぇ祐くん祐くん。もしかしたら私たち地下の物置きとかに泊まるのかもよ。だってこんな高級ホテル絶対おかしいもん」
金額とレベルがあってないのをおかしいと思ったらしい葵は変なことを言い出した。
失礼だと思うけどそう考えるのもわからないでもないような…。
「こらこら若宮さんそんなこと言っちゃダメよ。ここは一般人にはめっちゃ高額だけど、支配人さんが学生さんのこと好きだってことで学生には格安で泊まらせてくれるっていう私たちには神って感じの人なんだから。予約するのとっても大変だったんだからね」
「先生お疲れ様です」
みんなが先生の話を聞いてお辞儀した。この先生ってフレンドリー感じで尊敬されるって感じじゃあないのに今はみんなが神と言わんばかりの接し方をしている。
「先生ってすごかったんだね。今回は感謝だよ」
「それじゃあみんな! 行くよ!」
みんながめっちゃ褒めてさらにご機嫌になった先生を筆頭にホテルの広い広いロビーへ行って3人の班ごとにルームキーを貰って部屋に行く。
「祐くーん行きたくないー」
「はいはい。旦那とは夕食の時に会えるからそれまで我慢して」
葵が友達に引っ張られて部屋に行った。佐田さん。俺はまだ旦那さんじゃないよ。
「おお! これはすごい! めっちゃいい感じじゃん!」
「ちょ! おい! 俺が寝ようとしたベッドに飛び乗るな! 風呂も入ってないだろ! 拓哉、お前今日はそこな」
同じ部屋の奴らと少し遊びながら椅子に座って一息つく。一日でもやっぱり結構疲れた。
「祐輔! 1時間くらい夕食まで時間あるし何かしようぜ」
「それならもう神子戸の恋バナしかないよな。心配すんな。俺たち3人の秘密ってしておいてやるから」
進とクラスメイトの長谷川拓哉。俺たちで恋バナとか絶対面白くないし、しなくても良くない?
「だいたい恋バナなら進でもそれこそ拓哉でもいいだろ。特に拓哉、この修学旅行で告るんだろ?」
「その通り。俺は麻倉さんに告るんだ。というわけでやっぱり俺の告白成功のためにアドバイスをくれ」
「そんなに力になれるかわからないけど」
こうしてなぜか友達の告白のために俺たちがいろいろアドバイスすることになった。
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