200話 到着と法隆寺
「やっと着いたね〜。京都!」
「俺、まさかの全敗するなんて…」
ようやく京都駅に到着した。ただそれよりも俺は友達としたトランプに全敗したことにショックを隠せないでいた。
ババ抜きに大富豪にダウトに。まさかの全部負けてしまった。
葵とか鈴とかなら絶対負けなかったのに。なんで負けてしまったんだ。
「まぁ祐くん落ち込んでないで楽しまないと! 今から沢山の思い出作ろうね!」
まずはみんなで貸切バスに乗って法隆寺へ。道中はクラスのみんなが自由にどこに座ってもいいってことになったのでもちろん横には葵がいた。
「バスって自然に密着できるから良いよね。こうやって手を繋ぐこともできるし、肩が触れ合うこの感じ最高!」
まだ数時間。それも観光とか全然してないのに葵
もうかなり楽しんでいるようだ。ってこれはいつもと変わらないような…
そこから1時間とちょっとかけて法隆寺へやってきた。そこで葵がとんでもないことを言った。
「ここにはシカっていないんだね」
「えっ?」
葵は何を言っているんだ。ここにいるわけないだろう。どうしてめっちゃ真面目に目をキラキラさせてそんなことを言うんだ。
「葵…ここにシカはいないぞ。いるのは東大寺とから辺だぞ。テストでも上位なのになんでそんなところを知らないんだ」
「嘘でしょ。私、すごい期待してたのに。わあああん! 恥ずかしいよ!」
幸い俺にしか葵が言ったことは聞こえていなかったけれど顔は真っ赤になってる。まぁお茶目なところも可愛くて好きなんだけど。
まだ恥ずかしがってる葵の手を引いて境内に入っていく。
「わぁすごい…」
入った瞬間に感じるこの歴史の重み。雰囲気というかもうすごい。
「五重塔だ。これとか造り本当にすごいよ。なんか感動しちゃう」
「ずっと見ていられるな。こういうのはもうちょっと大人な人が好きなやつかと思ったんだが俺、めっちゃ好きだわ」
「私もだよ。まさか精神年齢はもうおばあちゃん?」
葵の精神年齢は絶対実年齢以下だよ。それだけは言い切れるな。
「あー! 今祐くんなんか失礼なこと考えたでしょ!」
肩をポカポカしてくる葵。さすが修学旅行。いつも以上に葵が可愛く見える。
「ほらほら、俺を叩かなくて良いから写真撮ろう。ここは写真撮影オッケーって書いてあるしさ。思い出たくさん残すんだろ?」
「もうっ! 限界までくっつかないと許さないからね!」
こうして俺たちの法隆寺観光はたくさんの思い出と共に終了した。
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