198話 修学旅行前日
「なんだかあっという間だったね」
「葵、忘れ物ないか? ちゃんと確認しておかないと困るぞ」
「分かってる分かってるよ。ちゃんとしおり見てるもん」
早いものでもう明日は修学旅行。今はわかると思うけど今一度荷物に不足がないか調べてるところ。
旅行あるあるで何回も確認して大丈夫だと思ったのにいざ行ってみると何か忘れてるパターン。最悪どこかで買えばいい話だけどやっぱりお金は大切にしたい。
たぶん京都に着いたら欲しいものたくさん買ってしまうんだろうけど要らないもの買うのはやっぱりアウト。
「お金は〜これくらい〜」
葵の封筒に入っていた金額は学校がいっていた金額の2倍。おいおいおい。大丈夫?
「あ、祐くん生徒会長なったからって規則バリバリに守っちゃうの?」
封筒をギュッと握り締めてお金は絶対持っていくよと意思表示する葵。
「いや、俺は生徒会長だけどそういうことは言わないから。なんなら俺もそれくらい持って行くし」
学校は目安としての金額を表示しただけで上限とかはいってない。もしものことを考えると多めに持っていって悪いことはない。うん。そうだよね?
「やっぱりそうだよね。みんなたくさん持って行くっていってたもん。それにしても楽しみ。晴れるといいなぁ」
「天気予報見たけど俺たちが行く日にちは雨は降らないって。絶好の修学旅行日和だな」
「それは最高! よし、最終確認も終わったところで…」
「ところで?」
ところでまで言った葵がそのまま勢いよく抱きついてきた。
「祐くんチャージ!」
「なにそれ初めて聞いたんだけど」
葵はそのまま俺の胸にギューっと顔を埋めたりすりすりしたりしてくる。ちょっとくすぐったい。
「明日からは祐くんと一緒にいてもあんまりイチャイチャできないからさ。ホテルでも離れ離れで夜一緒に寝ることも出来ないし」
当たり前だ。基本的に男女は別々。ちょっとムスッとした感じの葵だけどこれは葵がもうこう言ったところで絶対に変わらない。もはや不変の真理。
「だからこうして今のうちにチャージしておくの。でも私って祐くんエネルギーの燃費悪いからすぐにくっついちゃいそう」
「そうなったらどうするのさ。今回ばかりはなかなか会えないぞ。ホテルなら」
と、言いつつ俺も大丈夫かわからないんだけど。
「もしもの時は抜け出しちゃう?」
「いや、それ後でバレたら俺たち自由時間無くなるぞ?」
「それはダメ! たくさんプラス考えたんだもん!」
ならもう我慢だな。しばらくは一緒にいるってことで納得しておく。一緒にいる時間はいつもと変わらないから。
とかいろいろ考えてたらやっぱり修学旅行楽しみになってきた。
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