195話 引き継ぎ

「神子戸くんに決まったんだね。これからの生徒会は君の腕にかかってる。頑張って仕事を全うして欲しい。とは言っても私も神子戸くんがかなり優秀なのは知ってるんだけどね」


「俺はそこまでですよ。みんなの助けがあったからです」


「そういうことを言えるのも優秀な人の証だと思うよ」


 俺と佐々木希さんが話してある場所は生徒会室。今から引き継ぎや業務の説明などがあるということらしい。


 ただ俺も生徒会庶務だったので多少はわかるんだろうけど多分俺が思っている以上に仕事はハードだ。


「それじゃあこれが資料だよ。だいたいのことはこれに書いてある。これを参考にしてね。だいたい引き継ぎって言っても神子戸くんに教えることなんてあんまりないんだよね」


 実際、これで引き継ぎは終わったも同然。所要時間10秒。


「いろいろと片付けないといけないよ。これとかもういらないプリントが沢山あるもん。新生徒会には綺麗な部屋を使ってほしいからね」


 そう言うと先輩たちが使っていた企画書や配布物などをまとめ始める。


 それから10分。かなり綺麗になった生徒会室をみて佐々木希さんが頭を下げる。


「これで私のすることは完璧に終わった。後は受験勉強くらいかな」


「そっか。先輩は受験勉強しないとですもんね。頑張ってくださいね」


「うん。神子戸くんも頑張って」


 佐々木希さんはそれだけ言うと生徒会室を後にした。俺はその後ろ姿が見えなくなるまで頭を下げていた。感謝を込めて。


 そこから俺も仕事とかを確認すること30分。一応一通り目を通したので家に帰ることに。目下の仕事は後3人生徒会に入ってもらうことだ。


 これは立候補してくれた人がいたらその人からで、いなければ俺が指名する。少しは考えておかないといけない。


「それにしても久しぶりだな。こうして1人で帰るのって」


 中学では当たり前だった1人での下校。でも葵と会えてからはずっと2人だったこの道のり。


 やっぱりちょっと寂しい感じがする。


「急ごう」


 少し歩くスピードを上げて俺は家路についた。



「ただいま〜」


 玄関を開けてリビングへのドアを開ける。


「おめでとう祐くん!」


「おめでとうお兄ちゃん!」


 パンッと音がしたかと思うと2人が俺を出迎えてくれた。


「葵までどうしたんだ!?」


「鈴ちゃんが今日お疲れ様会するって教えてくれたからきちゃった。私もたくさん料理作ったんだよ!」


 確かにテーブルには様々な料理が並んでいる。本当に嬉しいな。


「お兄ちゃん早く食べよっ」


「そうそう。ジュースついであげる」


 この後かなりお祝いしてもらった。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る