191話 選挙当日

「ふぅ、緊張する〜。でも練習もしたし大丈夫だろ」


「祐くん頑張ってね! 私、応援してるから! 選挙だから公平にしないといけないんだけど、私は祐くんの味方だよ」


 そう。今日は生徒会長選挙当日。時間がぶっ飛んでいるがそこはご了承ください。


 うちの学校は立候補したからって毎日校門に立って挨拶するとか、何か活動をすると言うことはしない。


 今日の立会演説会で全てが決するのだ。事前アンケートもないので俺がどんな評価をされているのかは全くわからない。


 そして今日が言った通り立会演説会の日。俺と佐々木さんが演説をした後、その場で投票する。


 選挙管理委員が開票して明日には結果が分かるって感じ。うちの学校は普通な高校なので選挙は盛大なものではないのだ。


「じゃあ葵。行ってくる。しっかり見ててくれよ」


「うん! 瞬きもしないくらいにしておく! じゃあ。行ってきますのキスを…」


「それは、俺がちゃんと頑張れた時にまで楽しみに取っておくよ。頑張れた時には頼むな」


 こんな人の目がたくさんあるところでキスなんてできるわけないし、今、してしまったらセリフが吹き飛んでしまいそうなのでお預けにさせてもらった。


「お、祐輔も準備できたか。しっかり若宮ちゃんに癒してもらってきたんだろ?」


 そう声を掛けてきたのは進。俺の応援演説をしてくれる頼もしいパートナーだ。


「進の方こそ大丈夫なのか? 緊張してるんじゃないの?」


「俺は終わったら春香に癒してもらうから大丈夫だ。今は気力に満ち溢れているぜ」


 俺と進の思考回路が同じだっただなんて…。このバカップルと同じ考えだなんて俺は…どうしたらいいんだ…。


「祐輔、何難しい顔してるんだ? こう言う場面は楽しまないといけないんだぜ。最終回、ノーアウトランナー満塁で投げてた時すごい楽しそうにしてただろ」


 難しい顔になったのは緊張してるからとかではなくて進と同じ思考回路になってたのが微笑な感じってことで、ピンチで怖くなったとかじゃあない。


 緊張は葵と話しているうちに消えたし。ただ、進にそれを言うことはない。


 そうこうしているうちに生徒は全員会場である体育館に集合したようだ。佐々木さんの姿も見える。


「さて、進。行こうか」


「任せときなって。完璧なバトンを回してやるよ」


 こうして生徒会長選挙が始まった。



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