175話 耕します

「おはよう、祐輔くん」


「あ、おはようございます」


 おばあちゃんが朝の直売店から帰ってきた。そしてその顔はなぜか少し笑顔というか、なんというか。


「それでそれで、葵ちゃんどうだったの? 本当にしちゃったの?」


「えへへ。えへへ。うん。しちゃいました」


「そうなの〜。良かったわね! 私たちも若い頃を思い出すわ」


 ピシッとピースする葵に応えるようにおばあちゃんもピースする。なんでおばあちゃんが俺と葵が朝したこと知ってるんだ? 朝は直売店言っていないって葵が言ってたよな?


 でもその前に葵が、おばあちゃんに起こして貰ったとか、寝る前にも私が早く起きたらキスしちゃうとか言ってたってことは…


「まさかおばあちゃん、葵がしたこと知ってます…?」


 恐る恐る聞いてみた。知らないと言って欲しい。


「んー。よく分からないわ。私は葵ちゃんと祐輔くんが何をしたかなんて知らないよ」


「それ知ってるやつです!」


 完璧におばあちゃんは俺たちが何したら知ってる。これは知ってるやつだ。全部知ってるわ。


 おばあちゃんに俺たちがキスしたこと知られるってどんな事だよ! 葵には恥ずかしがらず素直になりたいとか言ったけどこれは別だ。


「まぁまぁいいじゃん。それよりほら朝ごはん早く食べよ?」


「そ、そうだね」


 おばあちゃんは朝行く前にかなり準備してくれていたそう。めっちゃありがたい。


「いただきます」


 ご飯、味噌汁、漬け物、鮭の塩焼き。有名な日本の朝ご飯だ。


「今日もよろしくね2人とも。今日は体使うしたくさん食べてね」


「はーい」




 ◆◆◆




「今日はここを耕してもらいます」


 そうやってやって来たところは広さはそんなではない所。


「耕すってあっちにある機械じゃダメなの? トラクターだっけ?」


 確かに耕すならトラクターの方がいいのでは? そう言うものではないの?


「ここ畑がクネクネしててトラクターじゃ耕せないところが多いの。だから端の方は自分で鍬でやるしかないの」


 なるほど。そう言うのもあるのか。見たら確かに真ん中の方はしっかり耕してあるけど端の方は全然だ。


「ここに春キャベツとかいろいろ植えたいのよ。ここの畑は売り物にするのもじゃないから端とかまで植えておきたいの。しっかり春に収穫出来たら2人の家にも送っておくわ。私はあったの方をトラクターで耕してくるからお願いね」


「おばあちゃんありがと。それじゃあ祐くん一緒に頑張ろっか!」


「おう! 葵、途中でへばっちゃだめだぞ」


「私大丈夫だもん!」


 こうして俺たちのミッションが始まった。



 ===


 いつも応援ありがとうございます! ★また増えて嬉しい限りです! ♡もとても嬉しいです! また、フォロワーさまが800名を突破しました。皆さまのお陰です! これからもよろしくお願いします!          九条 けい

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