170話 昔の試合を見よう
「さて、そろそろ家の中に入ろっか」
「うん。このまま祐くんの温もり感じてたいけど、肝心の祐くんが風邪引いちゃうかもしれないしね」
そういうことで2人仲良く手を繋いで家の中へ。家の中暖かい。
「あら、葵ちゃん祐輔くんにみつかっちゃったの? 結構長かったね」
「うん。見つかったところで少し喋ってたの」
そうおばあちゃんに言う葵の顔はいつも通りで、さっきのような感じは一切感じられない。葵…すごいな。
「そうなのね。それでどうする? もう寝る?」
時計を見てもまだ寝るにはやっぱり早過ぎる時間だ。今寝てもいいけどそうしたら多分5時くらいに目が覚めてしまいそう。
「まだ寝るのは早いかな。おばあちゃん何か面白いテレビとかあった?」
葵もまだ寝るには早いって思ってるようだ。でもこの今日のこの時間ってそんなに俺たちが見るようなテレビってなかったような。
っていうか、ずっと葵と付きっきりでそんなにテレビ見てないまである。
「今はそんなにいい番組はないね。ドラマとかは初回から見てないと面白くないしね」
ならどうする? 確かにドラマとかは1話だけ見ても意味ないし。
「あ、そうだそうだ。2人が小学生の頃のハードボールの試合のビデオがあるよ」
なんでそんなものをおばあちゃんが持ってるの? それも小学生の試合って俺がやんちゃだった時のじゃん!
「おばあちゃんそんなのあったの!? 見たい! 見たい!」
葵はめっちゃ見たがってる。おばあちゃんは立ち上がってそのままどこかへ行ってしまった。多分、ビデオかブルーレイ・ディスクとかを持ってくるんだろう。
「おばあちゃん偶に私たちの試合の応援に来てくれてたけどビデオも撮ってたんだね。私、知らなかったよ」
それは俺も同じだ。まさかそんな映像が残ってるなんて。
「お待たせ。これよ、これ」
おばあちゃんが持ってきたのはディスクが何枚も入った箱。それには1枚、1枚にいつの試合なのかペンで書いてあった。
「何を見る? 時間的に1試合くらいしか見れないけど」
葵はいろいろ物色していて、何を見るか真剣に悩んでいた。
「よし! これを見よう!」
葵が選んだのは…まさかの俺たちが離れ離れになる直前の試合。県大会の決勝戦だった。
「この試合って私の中で1番記憶に残ってるの」
「それは…俺もだよ。この試合はいろんな意味で忘れられない」
「はい、準備出来たよ」
おばあちゃんが準備してくれて俺たちも見る準備完了。葵は俺の広げた足の間にすっぽり収まっている。おばあちゃんがある前でこれでいいのかとも思ったけど、これが普通だった。
「ほらほら、始まるよ!」
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