168話 かくれんぼ(2)
「葵どこだ〜?」
もう4分くらい経つ。一階はかなり探した。それこそトイレなり押し入れなり。でも見つからない。
「二階かな?」
広い一階は居ないと思う。ということで二階に行ってみることに。
「ここにもいない…」
二階はそんなに部屋の数もないのですぐに探し切ることが出来た。
それでももうかなり探したはずだ。どこに隠れているんだろう。ここまで来ると逆に不安にもなる。
神隠し? いやいや、まさかそんなことはないだろう。俺の葵は神さまにも渡すつもりはないし。
「葵〜?」
トントンと階段を降りてまた一階へ。
「あれ? 玄関の鍵掛かってたかな?」
一階へ降りて廊下を歩いていると気になった。玄関の鍵が開いている。おばあちゃんは家にいるし、おばあちゃんが家に入った時掛けたはずだ。
よく見ると葵の靴もない。まさか本当に外に…?
俺も靴を履いて外に出てみる。
「さむっ!」
そろそろ11月になろうかという今の時期の夜は寒い。昼間はまだ暖かいんだけど。
辺りを見回すと…いた。葵は小さい頃に作った木のイスに座っていた。
「葵…」
「えへへ。見つかっちゃったか」
振り返る葵は見つかったことに悔しがるような顔はしてなくて…ただ俺に見つけられたことが嬉しいような顔をしていた。
「こんなところにいたんだな」
そっと近寄って後ろから抱きしめる。
「冷たっ」
葵の身体は冷たくなっていた。それもそうだろう。ここまで来るのに結構時間掛かっちゃったし。
「ここにいるんだったら何か羽織るもの持ってきてればよかったのに。寒いだろ?」
「大丈夫、大丈夫。だって祐くんが私を温めてくれるでしょ? 今だって何も言わずにそうしてくれてるじゃん」
だってそうしたくなるじゃん。冷たくなってるし。
「でも風邪引いたらいけないしそろそろ中に入ろう?」
「ううん。もうちょっとこうしたい。ほら見て、星がすっごく綺麗に見えるでしょ?」
上を見上げると本当に綺麗な星々が。
「確かに綺麗だ。まだオリオン座はまだ見えないかー」
「そうだね。でもいつもよりたくさんの星が見えるよ」
そこからほんの1分ほど俺たちは何も言わず星を眺めた。そして次に口を開いたのは葵だった。
「かくれんぼとは言っても祐くんが近くにいるのに1人なんて寂しかったな。暗くて寒いし」
「ごめんごめん。まさか外にいるとは思わなかったから。ただ隠れているって感じじゃなかったよ」
「まぁね。本当はここに来て欲しかっただけだし」
「どういうこと?」
葵の言っていることがよく分からなかった。
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