167話 かくれんぼ

「上がったよ。そろそろ布団を敷いておくだけしておこうか」


 おばあちゃんがお風呂から上がってきた。髪ももう乾かしてある。さすがだ。


「はーい」


「祐輔くんと葵ちゃんは別々? 一緒?」


「もちろん一緒!」


 即答だった。


「なら私は別の部屋の方がいいかな?」


「せっかくおばあちゃんの家来てるんだしおばあちゃんも一緒に寝ようよ。ここに布団敷けば大丈夫じゃない? 祐くんはどう?」


「俺が別で葵がおばあちゃんと寝るってのでいいんじゃない?」


「私は2人と寝たいの。だめ?」


 理由はおじいちゃんが入院したっていうことだけど、せっかくおばあちゃんの家に来たのだから、葵はしっかりおばあちゃんとも過ごしたいらしい。


「俺はいいけどおばあちゃんはいいですか?」


「もちろんよ。一晩よろしくね」


 ということで3人で寝ることが決まりました。




「ねね、祐くん。まだ寝るのには時間あるし何かしない?」


「テレビ観るとか?」


「うーん。それでもいいけど昔やったみたいにかくれんぼしない?」


 小学生の頃にした振りのかくれんぼをここで? いいけど大丈夫かな?


「祐くんすぐに私が見つかると思ってるでしょ! そんなにすぐに見つからないもーん」


「よーし! そこまで言うなら見つけてやる! いいよ葵やろう。2分待つから隠れて。はい、タイマー、スタート」


「絶対見つからないところに隠れるもーん!」


 葵に煽られて始まったかくれんぼ。やると言ったからには絶対見つけて見せる。宣言しよう3分で見つける。


 って思ったけれどそういえばかくれんぼで葵が勝ったら一緒に寝るとか言ってたような…もう布団3人分敷いてあるんだけど。勝っても負けても葵の望みが叶うのか。


 なるほど。それはもう仕方ない。でも前回(かなり前)見つけられなかった借りは絶対返す。


 タイマーを見るともう2分を経過していた。さて、一瞬で見つけて見せよう。音で分からないように着けていたイヤホンを外し、葵の探索へ向かう。


 まずは一応この広間を探索。前みたいなことをならないようにこたつから何までしとかないと。


「葵はここか?」


 カーテンの裏とかも入念に見ていく。ただこれって他人の家でやってもいいことなんだろうか。この年になるとそんなことを考えてしまう。


「大丈夫よ祐輔くん。せっかくなんだから楽しんで葵ちゃんを見つけてね」


 俺が思ったところでピンポイントにそう言ってくれたおばあちゃん。すごいな。


「ありがとうございます。ならしっかり見つけてきます」




 ◆◆◆



「ふぅ。祐くんどうかな? そろそろ動き始めると思うんだけど」


 もう2分くらい経ったかな? 祐くんは私を見つけることが出来るかな? 


「それにしてもここは…」


 手を擦りながら私は祐くんがここまできてくれて、


 あれだけ見つからないよとか言ったけどこうやって1人ぼっちなのは寂しい。


 それに今回はここにきて欲しい理由もあった。


「祐くん、早く来てね」



===


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