163話 お風呂
「なんでこうなった…」
ぽちゃん。今、俺は葵のおばあちゃんの家。それもお風呂。
「祐くんそろそろ入ってもいい〜?」
そして今初めて葵と一緒にお風呂に入ることになったのだ。
「ちょっと待って。もうちゃっとで身体洗い終わるから」
心臓がバクバクして半端ない。俺、まじで葵と一緒にお風呂入るの? 冗談じゃなくて?
葵は脱ぐところから一緒でもいいよー。とか言っていたけれどさすがにそれは恥ずかしいので別々に。
プラスして身体洗ってあげると今言われたけれど、さすがにこれも厳しい。恥ずかしい。
「はーい。若宮葵入りまーす」
ガラガラと後ろから音が聞こえた。そして入ってきたのは間違いなく葵。
「ちょっと葵!? 俺が身体洗い終わるまで待ってって言ったよね!?」
心臓が飛び出るかと思った! 葵、なんできてるんだよ!
「まぁまぁ、もうすぐ終わるんでしょ? ならいいよね?」
いや、ダメだから! 俺、そんな耐性ないから!
「葵、ちょっとだけ待って欲しい。俺、恥ずかしくてやばいから」
「私も恥ずかしいんだよ…?」
「え?」
いつも俺に引っ付いてくれてる葵から恥ずかしいって単語が出てくるなんて。っていうかそれならやっぱり待っててくれるか、別々に入ればよかったのに。
「でもそれより祐くんと触れ合いたいから入ってきました! この年でこうやって一緒に入るのって初めてだね」
そりゃそうだ。昔、この浴槽で一緒に入ったっけ。泥だらけになったから入らされたんだよな。
「それじゃ失礼しまーす」
「何を?」
そういうと葵は俺のボディタオルを引ったくった。
「ちょっと! さっさと洗うから返して!」
「大丈夫。祐くんまだ背中はやってないでしょ? だから私が洗ってあげる」
葵は俺の背中をゴシゴシ洗い出した。
「あぁ、気持ちいい…」
自分じゃできないこの力強さ。気持ちいいって言葉が漏れてしまった。
「祐くん気持ちいいの? ふふふもっとしてあげる。祐くん、背中おっきいね。それに筋肉質」
「ちゃんとやってよ。あっ、くすぐったい」
「あはは。祐くん素手でやったらくすぐったい?」
「そりゃくすぐったいよ!」
何はともあれ後は泡を落として終わり。
「それじゃ次は俺が葵の身体を洗う番だな」
「え?」
今、葵は大きめのタオルを巻いているので大丈夫。ただ素肌がかなり見えて恥ずかしいし緊張もするしドキドキする。
「いや、いいよ祐くん。私は自分で洗うよ」
「遠慮しないで。ほらほら」
なんか吹っ切れというかなんというか。
この後、葵の身体洗います。
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