161話 お手伝い
「じゃあ葵ちゃんは白菜の収穫で、祐輔くんはそれを箱に詰めてあっちまで運んでもらってもいい? すごい大変だけど大丈夫?」
「もちろん! いつも私たちは部活とかでトレーニングしてるからこれくらい楽勝だよ!」
葵は得意そうな顔をしてやる気満々だ。
今日の作業はおばあちゃんも言っていたけれど白菜の収穫らしい。ビニールハウスの中で作業かなと思ったのだけれどまさかの外だった。
これは予想外。外でこの白菜の畑の広さ。なかなかきつそう。
「葵ちゃん。白菜はこうやって切って…」
葵が白菜を収穫して俺がダンボールに入れて、軽トラの荷台に積んでいく。
「それじゃ祐くん頑張ろうね!」
と、言うわけで俺たちのお手伝いが始まった。
「おっ、白菜大きくて重い」
持ってみてわかった。ぎっしり詰まっていて大きい。1.8キロくらいあるんじゃないか?
「はい、祐くん。はい、祐くん」
「ちょっとスピード早いよ葵」
どんどん白菜を収穫していく葵に俺が追いつかない。葵、もう白菜収穫するのマスターしたの?
「祐輔くん、こうしたら早くできるよ。そうそうそんな感じ。それじゃあこっちは2人に任せていい? おばあちゃんは別の野菜収穫しないといけないから。お願いね。あ、休憩は適度にとってね」
こうしてひたすら白菜を収穫すること1時間。
「結構収穫したんじゃない?」
「いやいや祐くんまだまだだよ。ほらまだ全然終わってない。頑張らないと今日だけじゃ終わらないよ」
周りを見てみると、あっ、本当だ。これ全然終わってない。やばいやつだ。
「でも汗かいちゃったし少し休憩しよう。祐くんは無理する傾向があるしね」
いまだにあの予選会のことを持ち出される。でも仕方ない。あれは俺が悪いし。
「じゃあきゅうけーい!」
葵はそういうとそのまま座ってお茶を飲み出した。まさかの行動にびっくり。
「葵? 一回家に戻って休憩した方がいいんじゃない?」
休憩中なので一度家に戻っても何か言われることはないだろう。ここで休憩を取る必要はないんじゃない?
「そりゃ家に戻って休憩してもいいけどさ、ほらみてよ祐くん。この壮大な感じ。あんまり見れる景色じゃないでしょ?」
「言われてみたら…」
こんな一面畑なんて場所にこうして居る時間ってほぼない。普段は都会って言うほどじゃないけれど街だし。
「はい、と言うわけでここでちょっとイチャイチャしようか」
「どうしてそんな思考になっちゃうのかな!?」
結局、5分くらいの休憩が15分くらいになってしまいました。
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