159話 おばあちゃん
「めっちゃ久しぶりに行くから緊張する」
「大丈夫、大丈夫。祐くんのこと覚えててくれてるみたいだし。来てくれるって楽しみにしてるよ」
「それでもだって何年ぶりだろ。それに数回しか行ってないんだぞ」
「おばあちゃんしっかり覚えててたよ。小学校の記憶だけど」
葵の発言で分かったと思うけれど俺たちは今、葵のおばあちゃんの家に向かう途中。
何故こんなことになったというと葵のおじいちゃんが倒れて入院してしまったからだ。原因は過労らしいけれど、様子を見るための入院。
また、いろいろ検査してもらうから1週間くらい家にいないらしい。
ただそれだけなら俺がおばあちゃんの家に行く必要はない。お見舞いに行くのが普通だろう。でも葵のおばあちゃんの家は農家で今、収穫が大変だそう。
それで葵のお父さんたちは仕事で行けないからということで俺たちが行くことになった。
俺は数回葵のおばあちゃんの家で遊んだことがあるので初対面ではない。けれど、久しぶりすぎて緊張する。
「あ、祐くん着いたよ。降りないと」
バスが目的地に着いたので降りる。そして一気に目に入ってくる沢山のビニールハウス。
「わぁすごいな。これ全部だもんな」
「私も久しぶりに来たから驚いてるよ。やっぱりすごい」
少し歩くとこちらに向かって歩いてくる人が。
「あ、おばあちゃんだ!」
そう言って一本道を葵がダッシュで走っていく。そして抱きついた。
「久しぶりおばあちゃん!」
「久しぶりだね葵ちゃん。しばらく見ない間にまたすごい可愛くなったね。あ、そっちが祐輔くん?」
「そうそう。こっちが祐くん」
葵のおばあちゃんは見た目めっちゃ若く見える。何歳か全然わからない。
「祐輔くんも久しぶりね。小学5年生の時以来ね。とってもかっこよくなってるわね」
「ありがとうございます。お久しぶりです。あの、おじいちゃんは大丈夫なんですか?」
「全然大丈夫。今もたぶん病室でピンピンしてるわ。今収穫時期でね。ちょっと頑張りすぎちゃったみたいなの」
元気なら良かった。でも無理はもうしないで欲しい。
「今日は手伝いに来てくれてありがとうね。さ、こっちよ」
葵のおばあちゃんが歩いてきた道を3人で歩く。
「そういえば葵ちゃんと祐輔くん今も仲良いのね。昔からずっとね」
当たり前かもしれないけれどおばあちゃんに俺たちが付き合っていることは知らせてない。これは言ったほうが良いのか?
「私たち結婚を前提に付き合ってるの!」
俺が言う前に葵に言われてしまった。ただ葵はいつも話が飛び過ぎだ。
===
いつも応援ありがとうございます!星が増えててとても嬉しかったです!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます