156話 歌うよ

「はい、じゃあ次は祐くんの番!」


 マイクを渡され、曲を選ぶ。葵があの曲選ぶなら俺はこれにしようかな。


「よし、これにしよう」


「祐くんは何を歌うのかな? もし音痴でも気にしないで歌ってね!」


 なかなかに失礼だな。これは目にもの見せてやる。


 イントロが流れて始めると葵も分かったようで少し体を揺らし始めた。


「ずっと光の中♪ 昨日まではなかった♪」


 しくじった。出だし音を外してしまった。


 でも大丈夫。まだまだいける。


「叫んだ声は♪ きっと届くから♪」


「あれ? 祐くんうまい?」


 葵が何か言ってるようだけど俺の耳には入ってこない。もう歌うことに集中しまくってる。


 めっちゃ集中していたせいか歌っていた5分くらいの時間はあっという間に過ぎていった。


「どうだった? けっこうちゃんと歌えたとおもうんだけど。やっぱり難しいな」


「いや、祐くんとっても上手だったよ。途中からノリノリだったじゃん。見てて楽しかったよ」


 葵にそう言われると照れるな。


 そしてデデーンと点数が表示された。そのに映し出されていた点数はなんと92。葵と同じ点だ。


「わわっ! やっぱり祐くんすごい上手! 私に隠れて練習してたの?」


「してないけど文化祭とかの合唱はすごい上手いって言われたのことあるよ。カラオケとは全然関係ないけど」


 中学の時とかみんなの前で歌わされたこともあったからな。本当にあれは恥ずかしかった。


「へぇ、祐くんってそんなに歌上手かったんだ。知らなかったなぁ。祐くんの新しい一面だ」


「それでなんか音痴でも良いよとか言ってたのは誰だっけ?」


「あはは…。それは忘れて。緊張しないようにそうやって言っておいただけだから。さぁ次いくよ! 次はデュエットにしよう! うーん。この曲どう?」


 葵、誤魔化したな。まぁでもいっか。そんなの気にする必要ないし。


 思ってたよりほんと楽しい。なんで行かなかったんだろう。今となったら不思議でしょうがない。


「あー。この曲か。夏に流行ったやつだよね。良いよ。これにしようか」


 選んだ曲は打ち上げ花火のやつ。聞いたことある人も多いのではないだろうか?


「よし! じゃあ歌おう! 祐くん立って立って! さぁ行こう!」


 もうノリノリだ。すごい楽しそうに笑ってる。


 俺も立つとしようか。そうしたら葵がギュッと手を握ってきた。


「えへへ。さぁ祐くん始まるよ」




===


こんにちは。 九条 けいです。私が執筆しているもう1つの作品の「妹(義理)と暮らしていきます」をスニーカー文庫大賞に応募することに決めました。もし良ければそちらも応援頂けると嬉しいです。ただ今イチャイチャ加速中です。

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