155話 カラオケ来たよ

 部活終わって着替えたら葵に連れられカラオケへ。


 駅前の繁華街にあるカラオケボックス。頼むから知り合いに会いませんように。


「葵、他の人誘ってないよね?」


「もちろん! だって祐くんカラオケ行くの初めてなんでしょ? なら最初はあんまり緊張しないようにした方が良いかなと思って」


「葵…」


 そこまで俺のこと考えてくれてたのか。なんかめっちゃ嬉しいんだけど。やっぱり俺の彼女最後だわ。


「それにカラオケボックスって狭いから祐くんといろんなことできるからね。他の子いたらそんなのできないじゃん」


 それ聞いさっきまでの感動は何処へやら。そんな不純? な動機でカラオケ誘ったの!?


 それにカラオケとかでやばいことしてるやつとかSNSで見たことあるけど辞めて欲しいよね。


 ってそれは今どうでもいい。問題はカラオケボックスって狭いの? だ。結構広いんじゃないの?


「あ、祐くん到着! ここだよ。マネキング」


 早速店内へ入ってみると当たり前だけど歌声が。


「祐くん私たち15番の部屋だって。早く行こっ!」


 俺の手を引っ張る葵。そして入った15番の部屋。


「本当に狭いんだな。3人用くらいか」


「そうそう。もっと大人数なら大きい部屋だけど2人とか3人だとこれくらいの部屋なの」


 慣れた感じでマイクを準備したりしていく葵。店員さんからドリンクを貰って準備完了。


「それじゃまずは私から良い?」


 問題ないので葵から歌うことに。


「何を歌おうかな。なら最初はやっぱり私の1番上手い歌にしよっと」


 最初からレベルを上げていくスタイルか。次歌う俺がやばいじゃないか。


「それじゃいきまーす!」


 俺も歌う曲決めないといけないのでタッチパネルに入力していく。


 そこでイントロが流れて始める。あれ…? これ聞いたことがあるような。


「認めていた♪ 臆病な過去♪」


 SAOの曲だ! っていうかなんで葵が知ってるの?


 葵はそんな疑問を浮かべる俺は気にすることなくノリノリで歌っている。そしてめっちゃ上手い。


「ふぅ。さあどれくらいかな。あっ! 92点だ!」


 4分くらいして歌い終わった葵はにっこり笑顔で俺に向き直った。


「祐くん祐くん! どうだった? 私上手いでしょ!」


「すごい上手だな。聞いてて楽しかったよ」


「えへへ。そう?」


「ただ葵がSAOの曲知ってるのはびっくりしたな」


 最近1の驚き。


「えっ? 祐くんも知ってるの?」


「そりゃめっちゃ有名だし。葵も観てたんだ?」


「うん。中学の時に同じハードボール部の女の子が教えてくれたの。あんまり興味なかったんだけど見てたらハマっちゃって」


「あぁ分かる。俺も進の家で見させられたのが最初だし。でも観てびっくりめっちゃ面白いんだよね」


「初めて知ったよ。なら後でそれについてもお喋りしようね」


 ここに来て初めて知ったこともあるんだ。それが嬉しかった。


「それじゃ次は祐くんだよ!」


 ただ歌う覚悟を決める時間もっと欲しかった。

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