153話 どっち?

「ありがとね祐くん。ついてきて来てくれて」


「ただ俺も他に買いたいものがあっただけだから」


 少し暗くなった道を葵と2人で歩く。


 トランプの結果は分かると思うけど、1位はやっぱり俺で2位が鈴、3位(最下位)は葵でした。ババ抜きとかめっちゃ顔に出るし分かりやすい。葵は素直だ。


「そうやってさりげなく私を1人にさせないでついて来てくれる優しさ。私を思ってくれてるしほんと大好きだよ」


「大好きとかって言われるとやっぱり嬉しいよね。言葉にするって大事なんだろうな。俺も大好きだよ、葵」


「うんっ!」


 絡ませた腕をもっとギュッとしてコンビニへ向かう。最近こうされて思うことが…


「ねぇ葵。あのさ…当たってるんだけど」


 俺の肘辺りに柔らかい感触。最初はドキドキのせいでそこまで気が回らなかったけど、最近はそういうところにも気が行くようになった。


 そうなると葵がギュッとしてくれたらなんか柔らかいものが当たってるっていうかもうやばい感じになっている。


「これはわざと当ててるって言ったらどうする?」


「どうもしない…よ?」


 わざと当ててるとかビッチとか言われる人とかじゃないのか? なんか失礼なこと言ってすみません。


「あー。今さ祐くん私のことビッチとか思った!?」


 でも、葵をビッチって思ったわけじゃない。葵はそういう人じゃないって知ってるから。


「そんなこと思わないけど…ただ反応に困る」


 思いっきりこの柔らかさに心がやられてます。


「そうだね。ここでうっへっへって言っても変態っぽいし、何も感じないって言われても寂しいし」


 うっへっへとは俺は言いません。そんな変態ではないです。それだけは言っておきます。


「祐くんはどうなの?」


「え?」


 どうか言えって言っているの? めっちゃ恥ずかしいだろ!


「ちなみに、私はもっと私を感じて欲しいとかドキドキして欲しいって気持ちで祐くんにいろいろしてるよ」


 あ、そうなんだ。嬉しいな。ただなんでコンビに行くだけでこんなことになっているんだろう。


「なんか幸せな感じになるよね。今、腕を通して俺の気持ちがポワーンってなってる」


「そうなんだ。私にこうされてそうなってるんだ。うんうん。そう言ってくれると私も嬉しい」


 ふにゃんとしたこの感じに抗える男は居ないだろう。こんな可愛い彼女のならなおさらだ。


「コンビニ着いちゃったね。さて鈴ちゃんに言われたもの買ってこよっと。ちょっと行ってくる!」


 サッと俺から離れてスイーツコーナーへ直行する葵。


 もう葵は俺の腕を掴んでいないはずなのに何故かまだ葵のあの柔らかい感触が残っていた。

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