144話 完全復活

 全てのテストが終わった。


(最近テストばっかりだな)


 まぁ学生なのでそれは仕方ないよな。それでテスト週間が終わったということは…


「ついに神子戸祐輔復活!」


 あぁ長かった。投げるの禁止令が出て1カ月と半分くらい経った。そしてテストが終わったと同時に俺はついに自由を得た。


 この日をどれだけ待ちわびたことか。ずっと投げれなくて悶々としている日々とはお別れ。


「さぁみんなグランドに急ぐぞ! 時間がもったいない」


「いや、まだ昼ごはん食べてないし。祐輔は食べたのか?」


 今日はテストが終わったらそのまま部活なのでお昼ご飯持参。忘れたら購買。


「今そんな物はいらん。部活が終わった後食べるから問題なし」


 俺は部室のドアの前でワクワクしていた。なのであるの事に気付かなかった。


「祐くん…それはダメじゃないかなぁ。ちゃんとお昼ご飯食べないと倒れちゃうかも知れないんだがら」


「あ、葵…?」


 振り返ると女子の更衣室から出てきた葵がいた。ただまじ怖い。


「祐くん復活で嬉しいのは分かるけどそう言うことするならまだ投げらせられないよ」


「はい、すみません。ちゃんとご飯食べます」


「よし、なら食べさせてあげる。ちゃんと食べるかチェックしないといけないからね」


 何故か嬉しそうにそう言う葵。部員たちはニヤニヤしてた。


「大丈夫、葵。ちゃんと食べるから一緒に食べよう」


 部室が綺麗でよかった。この部の伝統。部室は清潔に。


「それで祐くんテスト合計はどれくらいいきそう?」


「そうだ祐輔、今回はお前をぶっ倒すために俺もいつも以上に勉強したんだぞ」


 かなり2人とも自信があるんだろう。そんな感じがめっちゃする。これで負けたら何を言われるか。でも今更どうしようもない。


「点は分からんけど1つだけ分かってることがある。それは葵と進には負けてないってこと」


「祐くんこのぉ! 絶対違うもん! 私勝ったもん!」


「ちょっ葵。弁当が溢れるって!」


 ぐらぐら俺を揺さぶられたがなんとか弁当は落とさずお昼ご飯を食べ終えた。





「さて、じゃキャッチボールしますか」


「祐くんさぁこい!」


 5メートルくらい離れた葵にフワッとボールを投げる。ほんとに久しぶりなので遠投は禁止。投げる球数も少しだけ。全力投球するにはまだ時間がかかる。


 まだまだいろいろ規制があるけどこれで俺も復活だ。あぁボールを投げる感覚最高。


「祐くん久しぶりだね。こうやってキャッチボールするの。痛みとかはない?」


 本当に俺を心配してくれて気遣ってくれる葵。有り難すぎる。俺は大丈夫と言いながら少しだけ距離を遠くする。


「なんか肩が軽い」


「肩がしっかり休まった証拠じゃない?」


 そうかも知れない。この感覚は初めてだ。


「じゃ葵もうちょっと下がってもらって良い?」


「祐くんが大丈夫なら良いよ〜」





 しばらくして俺の至福のキャッチボールの時間は終わった。



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