143話 お約束

 そこから日はあっという間に過ぎていき、今はもうテスト3日目が終わったところ。テストの日は午前中で帰れるので今はお昼前だけど帰宅中。


「祐くん! 今日のはどうだった!? 私は結構出来たと思うよ!」


「うーん。数学はいつも通り出来たと思うんだけど、現代文がなぁ」


「ほんと!? よしよし、祐くんの点が低いのは良いことだよ」


 いつもなら葵は点が低かったり出来なくても絶対喜ぶことはしないけれど今回のは理由があった。


 俺は進とのテストの点勝負とは別に葵ともテストの点勝負をしているのだ。内容は進と同じで合計900点満点勝負。


 それ自体なんの問題もないのだが、勝った方へのご褒美にかなり問題があった。


「勝った人は来週の日曜日、一日中なんでもお願い出来る」これが今回の勝者に贈られる報酬。


 課題テストで進とジュース1本で勝負したが、今回はその比じゃない。負けたら何されるか分からないので絶対負ける訳にはいかない。


 そもそもなんでこんな勝負をするとこになったのかと言うと、あのたこ焼きパーティーの後のこと。


 謎のお仕置きでめっちゃキスされた直後の頭がクラクラしてる状態で勝負の約束をしたらしい。


「祐くん幸せそうにうんうんしてたよ」


 って葵は言ってたけど俺にそんな記憶はない。その前までが強烈すぎて天国だったから無意識に頷いてしまったのかもしれない。まぁ、「約束」してしまったのなら守らないと。


「ふふふ。勝ったら祐くんにあんなこととかこんなとことかお願いするんだぁ」


 横では上機嫌にスキップしながら葵がそんなことを言っている。


「葵、もし勝ってもお願いは一般常識の範囲でだぞ」


「もちろん分かってるよ。そんなの当たり前でしょ」


 なんか怪しい発言をしていたから釘を刺しただけなんだが、そうだよな。葵は変なことしないよな。




 そして家に帰ってすぐに葵の家へ。今日のお昼ご飯は葵のお母さんが食べにおいでって言ってくださったのでご馳走になることに。


「祐輔くんどうぞ」


「はい、いただきます」


「簡単なものでごめんなさいね。ちょっと久しぶりにお話しとかもしたくてね」


「いえ、とっても美味しいです」


 メニューはチャーハン。めっちゃ美味い。


「お母さん! 今回は祐くんにテスト勝つから!」


「そうなの。小学生の頃なんて葵が祐輔くんに勉強教えてあげてたのにね」


 あの頃は懐かしい。勉強大っ嫌いだったころだ。葵には迷惑をかけた。


「それで勝ったら祐くんにいろいろお願い出来るの! だから絶対勝ちたい」


「葵、勝った時のことは考えてるの?」


 いや、まずはテストをしっかりしましょうよ。何みんな勝ったことのとこ考えてるの。


 絶対負かしてやると心に誓いました。

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