140話 たこ焼きパーティー
じゅー、じゅー。
今はテスト週間の日曜日のお昼。リビングには俺、葵、そして同じくテスト週間に入っている鈴の3人。
「わわっ葵ちゃんうまいうまい!」
「これにはコツがあるんだよ」
さて、俺たちが何をしているかというとたこ焼きパーティー真っ最中。テスト勉強しろと言う意見もあると思うが許して欲しい。
ことの発端は鈴のなんか楽しいことをしたいって言う発言。今、俺の両親は葵のお母さんたちとどこかへ買い物に行ってしまった。
鈴も行きたいって言ってたけどテスト週間ということで却下された。それで少しくらい何か楽しいことをしようと鈴が提案したのがこれ。
家にあるホットプレートをたこ焼きが作れるあの丸いやつに取り替えて、タコだったりを細かく切って生地を作ればあとは焼くだけ。生地を流し入れてテレビで見たようにクルックルッとやれば良いだけのこと。
そう思っていた…5分前までは…
実際にやってみるとめっちゃめちゃ難しい。上手く丸くならないでなんかグチャグチャになる。俺は諦めて出来上がるのを待つことにした。
「はい、祐くん。出来たから食べてっ」
俺の皿の上に置かれたたこ焼きはきれいな玉の形をしていてはっきり言って完璧。俺が唯一作ったやつはよく分からないものへと変化していた。
「それじゃ私は祐くんが作ったの食べるね」
「え?」
葵はそう言うと形の崩れた俺のたこ焼き? をパクッと食べてしまった。
「はふっはふっ。熱いっ! はふっ。うんうん祐くん美味しいよ!」
サムズアップしてそう言ってくれた。
「形があれだから私が教えてあげる。こういうのは作るのも楽しいからね」
あぁ、葵が優しくて心の底から嬉しい。俺が葵の作ってくれたたこ焼きを食べた時、心が温かくなったのは葵の心が温かいからなのだろう。
「お兄ちゃん! 私が作ったのも食べてみて!」
鈴が作ったのは葵と比べたら形は微妙だが、俺より断然に上手く出来ている。
「うん、鈴が作ったのもすごい美味しいよ」
「そう!? ならどんどん作っちゃうよ!」
目をキラキラさせてそう言う鈴はとても楽しそう。
「それじゃ私たちも作ろっか」
さっきと同様に生地を流し入れて固まってきたらよく分からん棒でクルッとする。
「よし、じゃあ祐くんも回してみよう」
葵はおもむろに立ち上がりテーブルの真正面にいる俺の方へ。そして背中にピタッとくっついた。
「あ、葵?」
「ほらほら。こうした方がやり易いし分かりやすいでしょ?」
「ま、まぁそうだね」
斜め前には鈴もいるのだがこれは教えてもらうためなのでセーフ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます