134話 天国
「それじゃ祐くんお布団入って」
「そこまではしないから!」
しばらく葵の心地よい頭なでなでとかをして貰っていた。そして離れたと思ったら次はこれだ。
「良いじゃん。ただお布団入っていろいろしてあげようと思ってるだけなんだから」
「いや、もう十分いろいろして貰ったから。そろそろ寝ないといけないから、俺は家に戻るよ」
「え? 祐くん私の布団いや…?」
少し悲しそうにそういう葵。俺からしたらどこに嫌という要素があるのか不思議だ。こんな天国なのに。
「いや、いやじゃないんだよ。でも布団入っちゃったらそのまま寝ちゃいそうで」
葵の布団すごくふかふかで良い匂いするし、そこでまた頭なでなでとかされたら気持ち良すぎて寝るのは確定と言ってもいい。
それに葵の家お母さんとかにも泊まるとは言ってないしさすがに帰った方がいいと思う。
「それは大丈夫。お母さんにはもういつでも泊まってもらっていいよって言われてるし、鈴ちゃんにも連絡してるから」
「まさかの想定済み!?」
「ほらほら、もう気にすることなんてないんだから。はいおいで」
郷に入っては郷に従えとも言うし、ここは天国を思う存分堪能させてもらおう。
と言うことで俺は葵の布団に入った。やっぱりすごい甘い匂いがしてなんか全体が葵に包まれている様な…。って変態か俺は。
「はい。膝枕してあげる」
葵の甘やかしスキルはハンパない。母性溢れると言ってもいい。
「やばい…本当に寝ちゃいそう」
「寝ちゃってもいいよ。そんなに気持ち良い?」
「まじで天国…ほんと癒される」
あぁ、本当にもう意識が…
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あぁ、祐くん寝ちゃった。スヤスヤやっぱり寝顔は可愛いなぁ。
私はそっと祐くんの髪を梳くようにしていく。
「本当、祐くんは頑張りすぎだよ。もっと自分を甘やかしてあげてもいいと思うよ」
祐くんは自分にストイックだ。決して妥協したりはしない。でもそれはちょっと心配。前の試合みたいなことがまたあったら…
「こうやって、祐くんから私に甘えてくれるのは嬉しいな。私が祐くんの疲れを癒してあげたい」
祐くんはよく私に遠慮してるところがある。私のことを考えてくれてるからこそってことは分かってるけど。
「もっともっと私に触れてよ。私は祐くんにされて嫌なことはないんだからさ。分かってるのかっ、このっこのっ」
祐くんのほっぺをツンツンするとうーんって寝言みたいな返事が返って来た。この人の顔を見ると私は幸せな気分になれる。私は祐くんに沢山の幸せを貰ったけど私は祐くんに幸せをあげられてるかな。
「私も眠くなっちゃった」
祐くんを起こさない様に祐くんの頭を持って膝を抜く。そして祐くんと同じ布団に入る。
「それじゃおやすみ祐くん」
私は祐くんにそっとキスした。
そして電気を消した。
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