133話 甘やかしてあげる

「あっ! こんなことしてる場合じゃなかった! 祐くんにたっくさん甘えてもらうってことだったのに!」


 アルバムを見ながらいろいろ喋ること30分葵が思い出したように、アルバムを閉じて言った。


「さっ! 祐くん私にたっぷり甘えていいんだよ」


 ここで俺は根本的なことに気づいた。


「葵。甘えるってどうすることだっけ?」


 俺の発言に何言ってんだこいつみたいな顔された。その顔は俺がみる中では初めての表情。新鮮だな。ってそうじゃない。


 3秒ほど葵はそんな顔してたけど、何やら納得したかの様にうんうんうなずき始めた。


「祐くん私に甘えてくれるの初めてだけどそこまでとは思わなかったよ。まぁ確かに、祐くんはいつも私を甘やかしてくれる方だし、みんなの前に立って引っ張っていくタイプだけどさ」


 そんなに俺を過大評価しなくてもいいと思うんだけど。


「言ってみたはいいけど実際やろうと思ったら何していいかわからない感じね。よし! なら、今回は私からしてあげよう!」


 そういうと葵は両手を広げた。


「はい、祐くんおいで〜」


 ベッドに腰掛け俺を呼ぶ葵。ここまでされると俺もわかる。葵に抱き着くようにするとそのままにぎゅーっとされる。


 いつもと違うところと言えば、俺が葵を見上げてている感じってところだろうか。いつも葵が抱きついてくる時は俺の方が身長が高いので上から葵を見る感じ。


 葵はベッドに腰掛けていて俺は床に膝をついている。なのでいつもと高さが逆転してしまった。なんか新鮮な感じ。


「あったかい」


「ふふふ。そうかな」


 なんか全体が包まれている感じがして…葵の温かさをすごい感じれる。すごく優しい、いつまでもこうしていたい。はぁ、ここは天国ですか…


「私の心臓の音分かる?」


「うん、すごい分かる」


 頭がちょうど心臓のところあたりにあるので葵のドクンドクンっていうのが伝わって来る。


「よしよし、祐くんは偉いね」


 そのまま頭を撫でられた。ちょっと待って。俺はそこまで子どもじゃない。


 俺が葵の胸から頭を離そうとしたが逆に頭を持たれて葵の胸にもっとぎゅーっとされた。


「祐くん逃げちゃだめだよ。今日は甘えていいんだから。恥ずかしくもない。もっとリラックスして」


「そこまでしてもいいのか」


「もちろん。ほらよしよし」


 よしよしとかされるのって何年ぶりだろ。覚えてないや。


 でも、こうやってもらうのってすごい。


「今日はもっとこうやってあげるからね」


 今日の夜はまだ終わらない様だ。

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