130話 勝負の結果は?

 あれから1週間が経ち今は朝のホームルーム。


「それでは前やった課題考査の成績表を返します。出席番号順に来てね。それじゃあ、浅田さん」


 どんどんとみんなの成績表が返されていく。ある人は嬉しそうに。ある人は絶望したかのように。進はと言うと返されて結果を確認した瞬間、ニヤニヤしながら俺の方へやって来た。


「おうおう祐輔。今回はお前の負けだ。確かにお前は昔と違って頭が良い。でも今までの最高順位は7位だろ? 今回俺は6位だ」


 まじか。びびった。本当に一夜漬けを完成させるなんて。うちの部員はみんな上位にいるけどまさかこいつがこんなに順位を上げてくるとは。


 いや、待て。こいつ絶対夏休み勉強ちゃんとやっただろ。雨宮さんと一緒に。あいつ俺を油断させようとしたな。


「神子戸くん」


 俺も受け取って席に戻る。勝った気満々の進が待ち構える。さぁ、結果を見ようとした瞬間…


「祐くん祐くん! 見てみて私5位だったよ! 祐くんとこの夏頑張って良かったよ!」


 そう言うとギューっと俺に抱き着く葵。クラスのみんなが見てるから少し自重して〜。


 葵は数学が少し低いくらいで他がめっちゃ高かった。さて、俺はどうなんだろう。


 パッと成績表を開ける。そこに書いてあったのは…


「悪いな、進。俺の勝ちだ」


「いやいや! なわけないだろ! 何位だったんだよ! ちょっと見せてみ」


 葵と進が俺のを確認する。


「すごいすごい! 祐くんすごいよ!」


「嘘だろ…なんで…今回絶対勝ったと思ったのに…」


 書いてあったのは「1位」の文字。学年200人中1位。


「そう言うことだ。悪いな進」


 出来るだけクールに努めたいのに嬉しくて口元が緩んでしまう。進はガーンという感じで自分の席に戻って行った。ただハイレベルな勝負だった。


 遂に1位を取ることが出来た。課題考査で成績には反映されないけど本当に嬉しい。この夏葵と頑張って。


 葵と離れ離れになってから約束した様に勉強は頑張った。でもひとりじゃなくて葵といるともっと頑張れた。それが実感できたのが本当に嬉しい。


「祐くん。1位になったご褒美何かあげよう。何がいい?」


 横の席の葵が俺に聞いて来た。ご褒美か。葵からなにかしてれるからなんでも嬉しいんだけど。あ、そうだ。思いついた。


「ならさ。家帰ったら…甘えさせて欲しい…」


 葵の目が点になってしまった。恥ずかしいことを言ったのは自分でも分かっているので早く何か反応して欲しい。


「祐くん…分かった! 今日帰ったら祐くんを思う存分甘えさせてあげる。楽しみにしててね」


 そういうと葵は俺と逆方向の窓を見ながら何やらぶつぶつ言い出した。顔は真っ赤。


「よく分からないけどとりあえず昼休みなったら進にジュース買ってもらお」


 こうして俺たちの課題考査勝負は幕を閉じた。

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