131話 葵の家

 昼休みには進にジュースを買ってもらった。俺の好きなオレンジジュースを。次は負けないとか言っていたので俺も気を抜かずしっかりやろう。


 そんなこともあったが今は夜の10時。俺は葵の家の玄関前にいる。葵の家に行くのは久しぶりだ。この夏はずっと俺の部屋に入り浸っていたから。


 虫の音が聞こえ、夜風が涼しくて気持ちいい。昼間はめちゃんこ暑いけど夜のこ涼しさは大好きだ。


 ってそんなことは今はどうでもいいので早くインターホンを押さないと。でも今の時間はさっき言った様に夜の10時だ。普通に考えて葵のお母さんたちに迷惑では…?


 ちなみに葵はなぜか俺の家の合鍵を持っているので勝手に入ってきてはってのが普通で両親もそんな毎日に慣れてしまった。ただいまとか葵がいう始末。


 でも俺が葵の家に入ったのは数回しかない。葵がこの時間に来てと言ったんだけど…。俺が葛藤している中、スマホにメッセージが届いた。


「お母さんたちにも言ってあるからいつ来ても大丈夫だよ」




 ◆◆◆




「あらあら祐輔くん、いらっしゃい。葵から聞いてるわ。あの子は自分の部屋にいるからね」


 出迎えてくれたのは葵のお母さんだった。


「ありがとうございます。夜遅くにすみません。お邪魔します」


「そんなにかしこまらなくていいのよ。今度から来る時はただいまって言って欲しいわ。祐輔くんが毎回インターホン使うの大変なら合鍵渡しておこうかしら」


「い、いえ! それは頂けません!」


「そう? でも必要になったらいつでも言ってね。さ、葵が待ってるから行ってあげて」


 いつものようにグイグイ来る葵のお母さんに言われ葵の部屋の前へ。コンコンとノックしたらいつものパジャマを着た葵がニコニコ笑顔でドアを開けてくれた。


「祐くーん!」


「おわっ!」


 入ったの瞬間葵に腕を引っ張られそのままベッドにドーンとなってしまった。


「葵?」


「えへへ。祐くんこんばんは」


 すごく嬉しいそうにベッドの上で抱き着く葵。部屋全体から甘い香りが漂ってきて頭がくらくらしそうになる。なんで俺の部屋とこんなに違うんだろ。


「うん。こんばんは葵。それで今日ってさ」


「うん! 分かってるよ! 私が祐くんをたっくさん甘えさせてあげるんだよね!」


「そうなんだけどなんでそんなに嬉しそうなの?」


 部屋に入ってからの葵のテンションはどこから来るものなんだ。


「私嬉しかったの。初めて祐くんがそういうこと言ってくれたから。いつも甘えるのは私だったから」


 そんな理由だったのか。確かにそうだけど…


「というわけだから今日は今から思いっきり甘やかしてあげる!」


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