122話 帰り道

「今日、鈴部活のみんなとファミレスでご飯食べて来るらしい。親も今日仕事で遅いんだけど。葵はご飯は自分の家で食べるでしょ?」


 さっき風呂一緒に入るかどうかの攻防戦を終え、あと半分くらいの帰り道を帰っている。


 そしてさっき鈴からメッセージが来てたので晩ご飯どうしようかなっと。誰もいないしコンビニって手もある。


「えぇ、祐くん一日中一緒にいるって言ったでしょ。それはご飯の時もってことだよ」


「でもそんなこと言ったって葵のお母さんにそこまでいってないだろ? 今日から俺ん家泊まるってことしか」


 確か俺はそう聞いた。俺以外の部員による議論により、葵が俺のお目付き役になったと。


「あ、お母さん? 今日祐くんの家で晩ご飯食べちゃうから。良いかな? あ、うんありがとう。じゃあね」


 え? まさか…


「今お母さんに言ったらいいって。ふふふ。任せておいて! 私がご飯作ってあげる」


 確かお弁当のおかずとか葵が作ってるんだっけ。そんなこと昼休み言ってたな。


「本当に? それはすごい嬉しい! でもそんなに冷蔵庫ないかも。今日朝弁当作った時あんまりなかった気が」


 今日の弁当当番は俺なのでそんなことを覚えてた。ちゃんと親に言っておかないと。


「なら、近くのスーパー寄って帰ろ。祐くんに美味しい料理作ってあげる。楽しみにしてて!」


 すごいご機嫌な葵と一緒にスーパーへ向かった。



 ◆◆◆



「まずは玉ねぎ、後は合い挽きと…」


「葵、何作ってくれるんだ?」


「ふふふ。出来てからのお楽しみ。あ、キャベツも取ってもらっていい?」


 にこにこ顔で食材を選んでいく。たぶんすごく美味しいものを作ってくれるんだろうな。なんかお母さんに花嫁修行で料理習ったとか言ってた気がする。


「あ、俺も明日鈴は弁当いらないけど俺がいるからなんか買っておかないと」


「なら、明日私が作ってあげるよ? 1人分も2人分もあんまり変わらないから」


「うーん。それは嬉しいけど葵が大変だろうし。今日葵が晩ご飯作ってくれるから俺が弁当は作るよ。葵のお母さん大丈夫かな」


「え! 祐くんが作ってくれるの!? 大丈夫大丈夫! お母さんに言っとく!」


 すっごい嬉しそうに言ってくれるけどそんなに俺の弁当いいものなのかな。みんなと変わらないと思うんだけど。


「よし、食材はこんなもんかな。祐くんはどう?」


「うん。大丈夫」


 かごいっぱいの食材と何故か入ってるお菓子類。それをレジに持っていく。


「いらっしゃいませ…あれ、学生結婚ですか?」


 吹いてしまった。どんな店員さんだよ。びっくりしたわ。葵はそうですそうですって言ってるけど違うから。デマ流さないで。


 最後にいろいろあったけど葵の料理楽しみだな。


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る