121話 攻防戦

「なぁ、葵も家やっぱり帰った方がいいんじゃないか?」


「ダメだから。私のお母さんも良いって言ったし、祐くんのお母さんたちも是非って言ってたから」


「いや、でも外ならまだしも家の中なんだし俺は大丈夫だよ。問題ないよ」


 帰り道。部活が終わったので葵と帰宅中。汗は多少かいたけど全然疲れてないこの感じ。うん、違和感しかない。


「夏休みもずっと一緒だったからいいでしょ。そして私には祐くんを見張らないといけないの。ちょっとでも目を離したらどこかでトレーニングとかしたりしそうだからね」


 よく分かっていらっしゃる。ちょっと前の俺なら多少のドクターストップなら無視して部活なりなんなりしただろう。


 でも今回に限って。いや、今後はちゃんと自分の身体も大切にしないといけないって思ってるから。無理はしない。葵にあんな涙を流させるわけにはいかないもんな。


 ただ俺がこうなって涙してくれるって。そんなに思ってくれてるのは嬉しかった。やっぱり秘密だけど。


「そんなことしないから。ちゃんとしばらくはそんなことしないよ」


「本当に〜?」


「本当だよ。って言うか俺ってそんなに信用ないかな…?」


「そ、そんなわけじゃないの。ただ祐くんと一緒にいられる時間欲しかっただけで…」


 そんな理由だったの!? 申し訳なさそうに言う葵。ごめん。気づいていればそんなこと言わなかったんだけど。


「あー。やっぱり俺、葵がいなかったら無理してトレーニングとかしそうだなー。誰か居てくれればそんなことしないんだけどなー」


 俺の言葉にパァっとさせた葵。さっきの棒読みのセリフでもそんなの関係ないらしい。


「しょうがないな〜。祐くんそんなに悪い子なら私がしっかり見ておいてあげないとね〜」


 なんか俺が幼稚な感じで言われたのになんかムッとしたが葵がその後とんでもない発言をしたのでそんなことどうでも良くなった。


「なら、私がお風呂一緒に入ってあげる。逆上せたりしたらいけないからね。髪とか身体とか全部私が洗ってあげるから期待してて! 祐くんも私の身体洗いたいって言うなら…いいよ?」


 いや、いいよじゃないから! そんなことしたら別の意味で倒れるわ! めっちゃ可愛い「いいよ?」だったけどそれはアウトだから!


「葵。風呂は大丈夫。すぐに上がるから心配しないで」


「えぇ、いいじゃん。昔洗いっことかしたんだし」


 それは昔の話であって今それしたらいけない。たぶんそれ以上になりそうだから。それが何なのかは分かりませんが。


「風呂以外ならいいよ。俺も葵と寝るとドキドキしながらもすごい安心して寝れるんだよ」


 葵が横に居てくれるだけで安眠できる。朝スッキリ起きれるし、朝から葵の顔見れるとか一石二鳥以上に素晴らしい。


「そ、そうなんだっ。祐くん私がいたらドキドキするんだ。私もっ! 祐くんがいたらドキドキするし幸せなんだよ」


 すごい嬉しい。何回言われても恥ずかしくなるけど本当に嬉しい。


「それにお風呂以外は何しても良いってことだよね…ふふふ。何しようかな」


 その声はあんまり聞こえなかったけど、とにかくお風呂乱入はないので安心した。

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