113話映画館で(2)

「まもなく3番シアター 劇場版君に恋した の入場を開始します」


 アナウンスがあったので俺たちは3番シアターに入場した。


 人はちらほら居るくらいでそんなに多くはない。1番後ろの指定席に座ればあとは映画が始まるのを待つだけ。


 今、スクリーンはどっかの企業の宣伝をやっていて劇場内もまだそれなりに明るい。


「祐くん祐くん久しぶりだね。こうやって一緒に映画観るの」


 ひそひそ声で囁く葵。耳元に息がかかってくすぐったい。でも本当に久しぶりだ。小学生の時は毎年春くらいに公開のコ○ンとかドラ○もんとか観に行ってた。コ○ンに関しては今でも毎年観てるけど。


 しばらくしたら映画の告知とかも終わって真っ暗に。いよいよ映画が始まる。


 そしたら右隣にいる葵が手を握ってきた。映画まだ始まったばかりだよ!? 今から100分このままってこと?天国だけども…集中出来るかな。


 とりあえず落ち着いて観よう。そう思ったのも束の間。葵はさらに俺の指と指の間に自分の指を入り込ませてきた。いわゆる恋人つなぎ。


 何回かしたことあるけど今されるのはまずい。全然映画に集中出来ない。




 物語はプロローグから主人公とヒロインが出会っていろいろしていくうちに心惹かれあって。そして告白して。そんな2人への試練を乗り越えて最後プロポーズする。そんな物語だ。基本的には甘々ストーリー。原作にとても忠実で作画と声がベストマッチだった。たぶん。


 指と指の感覚の方が俺の集中力を持っていってしまったから。


 とくに最後のクライマックスの方は全然覚えてない。葵の方を向いたら葵も俺のこと見てて、ヒロインと同じタイミングでした口パク。「大好き」

 これにノックアウトしてしまった。



「すごいおもろしかったね祐くん! やっぱりキュンキュンしちゃったよ! 最後の方とかもう神ってたね」


「そ、そうだね。すごい感動しちゃったよ」


 その感動のシーンで俺は葵が頭から離れなかったけどな! 


「ねえねえ祐くん。家に帰ったらあのシーン再現してみて欲しいな。みてるだけでもすごかったのに祐くんにしれたらすごそうなの」


「俺それめっちゃ恥ずかしいやつだよね。でも良いよ。葵がそこまで言うなら」


「やった! じゃあ早く帰ろ!」


 そのまま家に帰って葵とイチャイチャしました。


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