107話 みんな同じ

 その後もジェットコースターだったり、ショップを見て回ったりした。ジェットコースターはどれも思ってたほど怖くなくてとても楽しかった。


 しかし、


「なぁ、本当にこれ乗るの?」


 俺たちの目の前にある高さ60メートルくらいのタワー。これの仕組みは単純。1番上からのフリーフォール。絶対俺たちがさっき乗ってきたジェットコースターより怖い。


「祐くん、ここまで来てそれ言っちゃだめ」


「そうそう。お兄ちゃん覚悟決めて」


「いや、でもキャーって悲鳴聞こえるだろ?絶対やばいって」


「なら、鈴ちゃん」


「うん」


 渋る俺に対しついに2人は物理的手段を使ってきた。両腕をガッチリホールドされ連行されていく。周りには羨ましそうな感じで見てくる人もいるけど全然良くないから。これ今から地獄に連れて行かれるやつだから。


「えへへ楽しみだね祐くん。むぎゅー」


「もう逃がさないよお兄ちゃん」


「やめて〜!」


 俺のそんな叫びは聞き入れられることはなかった。




「まだかな。まだかな」


 俺たちはファストパスを持ってないので普通に並んで待つ。さっきまでどんな待ち時間も楽しくてあっという間だったのに。今は恐怖で長くて辛い。


「あ、次鈴たちの番だね!」


 ついに来てしまったよ。でも考えれば後5分もすれば終わる。


 そう思ってたのに…



「いつになったら終わるんだ〜!」


 順番がきて通されたのが広い部屋。何があったのかと思ったらここは呪われているとかここはどうだとか。普通に考えたら全然怖くないような内容なのに、リアル感とフリーフォールへの恐怖でかなり内心やばくなった。マジでどこまでも世界観とかしっかりし過ぎ。


 でもそれも終わってついに、ついにガチでフリーフォールへ。


 両隣に座った2人はワクワク。俺はガクガク。


 2人は楽しそうだなぁと思っていたらまさかの2人が怖がり出した。


「祐くん、やっぱり怖いよ…やめておけば良かったかな…」


「いやいや、今更何言ってるの?」


 もうベルトをしっかり装着されてじわじわと乗り物が上昇してる。もう手遅れ。


「お兄ちゃん、助けて…」


「鈴まで!?」


 でも否応なしにどんどん上がっていく。後10秒もすれば落下するだろう。どうにかしてあげたいけど俺も自分のことで頭がいっぱいなので何もできない。


「2人とも覚悟決めろ!」


 その瞬間乗り物が落下した。

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