105話 ネズミーシー 

 次の日の朝。俺は寝不足だ。昨日の夜から尋問(恋バナというらしい。そんな感じじゃなかったが)は夜遅くまで続いた。


 中学時代のこととか、誰かに告白されたことはあるのかとか。そんなのいいじゃんと思ってしまうった。


 そして葵の話は俺とのノロケ話。他の人のノロケ話を聞くのは結構きついが、自分の彼女が俺のことでノロケ話をする方が何倍も恥ずかしくてやばい。鈴にニヤニヤされてしまったし、兄としての威厳がなくなったかもしれない。


 鈴の話は好きな人がいるとかじゃなくてタイプの男の子のことだったり、理想のデートだったりと俺が聞くのは良いのかわからないものだった。妹のそんな話を聞いても嬉しくない。


 まぁ、そんなこともあったと言うことで。



 ◆◆◆



 朝食を食べ終わって今は着替え中。女の子の着替えを見るわけにもいかないので、1度部屋の外に待避。2人は別にいいよ、とか言ってたけど俺が全然良くないので逃げることにした。葵も鈴もその考えはアウトだと思う。うん。


 そんなこんなあってホテルの一階ロビーに集合した俺たち。今日行くところはもう決まってる。東京ネズミーシーだ。ランドじゃなかった。ごめんなさい。


「祐くん、すごい楽しみだね! 私、タワーから落ちるやつやってみたい!」


「それ鈴もすごい行きたい!」


「いや、俺そういう絶叫系無理なんだけど。絶対怖いじゃん」


 乗ったことないけどムリ。バラエティー番組で見る限りマジでやばそう。俺の心臓止まるかもしれない。チキンな俺でした。


「絶対お兄ちゃんも一緒に行かせよっと。協力して葵ちゃん」


「もちろん。任せて鈴ちゃん」


 ガシッと強く握手する2人。どうやら俺にとって地獄の同盟が締結されたようだ。


「じゃ、祐輔よろしくな」


 例によって俺が先導する。でも今日はちゃんと備えてあったので慌てない。



 ◆◆◆



「へぇ。ここがネズミーシー」


 カップルだらけの楽園とされる場所。(偏見)


 そんな場所へ俺たちは入場した。


「祐くん祐くん! 見て見て! ネズミーがいるよ!」


「お兄ちゃん! こっちもすごいよ! あ、ネズミーカチューシャとかるよ!」


 2人が入場した瞬間、目をキラキラさせてあたりを見回す。本当に夢の国にきたみたいな反応。


 とりあえず定番のネズミーカチューシャを付けて見ることになったんだが、


「葵も鈴もめっちゃ可愛いじゃん。それすごい似合ってる。今日そのままつけてて欲しい」


「そう?そんなに似合ってるかな。でも祐くんがそう言ってくれるならこれにしようかな」


「鈴もお兄ちゃんに可愛い言って言われるの久しぶりだしお兄ちゃんの要望に応えてあげる」


「「その代わり、私たちが祐くん(お兄ちゃん)のつけるの決めるね!」」


 そしてそのまましばらくこの場で俺につけるものを選んでいた。

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