96話 海か山か
「祐くん!なんで分かってくれないの!」
「分かってないのは葵だろ!何回言ったら分かってくれるんだよ!」
珍しく俺たちが言い合いをしている。それもかれこれ30分ほど。話してる内容はしょうもないかもしれないけど旅行の行き先。
俺たちの部活が10日から17日まで休みって今日の部活が終わった時もらった予定表でわかった。それで親に予定表を見せるとそこがちょうど両親が仕事休みだったんだ。
鈴も部活がなくてどこかいこうってことになった。そして葵の両親にも話がいってならみんなでどこかいこうってことに。それでどこに行くか親に聞かれたので今、葵と討論中ということだ。
「なんと言っても山だよ葵。ヤッホーとかも言いたいじゃん」
「それは今この窓からでもできるじゃん。それより祐くんも私の水着とか見たくない?」
「うっ」
それは見たい。まじで惹かれる。海っていいな。海で葵と水掛け合ったり、泳いだりしたい。
「ほらほら〜。祐くんなかなか揺れてるね。海の方がいいと思うよ」
「いやいや!やっぱり山だって」
グッと堪えて俺は山をアピール。葵の水着のか素晴らしすぎるけど、いや神だけどそれにも負けてないものがある。
「山は空気が澄んでてめっちゃいいよ。それで山に登り切って山頂でさ」
「そこでキスするってことね!」
いや、山頂まで登ったら感動するじゃんとか言いたかったのに一歩も二歩も先にいってる葵はすごい事を言い出した。よく考えたら俺たち海行く理由も山行く理由も結構不純じゃね?とか思ってしまったりもしたけどまあいっか。
「あ、やっぱり葵ちゃん家来てたんだね」
「あ、鈴お帰り」
「鈴ちゃんお帰りなさい」
「うん。ただいま。なんの話してるの?」
部活から帰ってきた鈴が俺の部屋に入ってきた。旅行ってことはちょっとびっくりさせようと思って黙っておく。それでさっきの山と海論争を鈴に言った。
「それなら鈴は山かなぁ。自然に触れたいんだよね。気持ちいいだろうしね」
さすが鈴。俺の妹なだけある。俺の自慢の妹だ!
「でも海も良いよね。浜辺を駆け回ったり魚捕まえたりしてみたい」
横で葵がうんうん頷いてる。いや、鈴どっちなんだよ。
「そう言えばそれを聞いてどうするの?どこか遊びにいくの?」
「良い事を聞いてくれた、鈴。親父たちがお盆くらいにどこか泊まりで旅行に行こうって言ってたんだよ。葵の家も一緒で」
俺が決めたわけでもないのに自慢げにそう言った。でも鈴の反応は薄かった。
「お兄ちゃんそれ知ってるよ。いく場所もネズミーランドとか東京だって言ってたよ」
「「なんだって!!」」
まさかのいく場所もう決まってたなんて。速すぎる。ってゆうかなら俺たちの論争はなんだったんだ。まぁ楽しかったから良いけど。
という事でお盆は東京に行くことが決まりました。
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