94話 Happy Birthday (12)

 もはやhappy birthdayなのか分からなくなってきたがそんななことは今は関係ない。


 次は耳下から鎖骨に向けてリンパを流していく。この時先にゴミ箱である鎖骨ポケットをさすって開けておくことがコツ。そうした方が即効性が違う。らしい。


「はぁこれは最高だよ〜。こんな技どこで磨いたの?」


「母さんが読んでた雑誌に載っていてそれを見て

 ちょっと興味出てさ。鈴とかにお願いしていろいろ練習させてもらったんだ」


「それっていつくらい?」


「まぁ2週間くらい前?だからまだ葵のマッサージテクニックより全然って感じ。経験が浅いもので」


「ふーん」


 急にジト目になった葵。今の体勢ならむしろめっちゃ可愛い感じになるんだけど何かあったのだろうか?


「祐くん、それ私に言ってくれたら良かったのに。どうして鈴ちゃんで練習してるのよ。兄妹で仲良くするのも良いけど私も一緒にいろいろなマッサージ方法とか考えたり、調べたりしたかったな」


「葵にもしするとしてももっと先だと思ってたから。鈴に何しても緊張なんてしないけど葵相手だと緊張するからさ」


 鈴に練習付き合ってもらってる時とかやっぱり何も感じなかったのに葵の時は緊張する。やっぱり特別な女の子だからだろうな。


 でもマッサージに興味を持つなんて俺もなかなかに女子力高まってないか?まぁいっか。


 ゆっくりとリンパを流し終わったら最後に耳を指で揉んでいく。今、俺ができるのはここまで。耳って揉んだらめっちゃあったかくなるって知ってた?今からでも試して欲しい。


「ふぅ、体からポカポカ。もうこのまま寝ちゃいそう」


「ほんとなら寝て良いよって言いたいけどここで寝られたら俺の寝る場所がないから勘弁してほしいんだが」


「祐くんは私のよこっ」


 自分の横をポンポン叩いてそういう葵。ということで今日、葵と寝ることが急遽決まった。最近よくあることだけど葵の両親とかには言わなくて良いのかなってよく思う。


「もう寝るので良いの?」


「うん。祐くんありがとね。すっごく気持ちよかった。そのおかげでもう眠たいよ」


「そっか。葵がそこまで言ってくれると嬉しいな」


 葵はもう、ウトウトしていてすぐにでも寝そう。いや、もう寝てる。俺は寝てる葵にそっと言った。


「誕生日おめでとう、葵。これからもよろしく。楽しい思い出作ろうな」


 そして寝ている葵にそっとキスした。よし、俺も寝ようとしたのだが...寝たはずの葵に思いっきり抱きつかれてしまった。


「んー!!」


「うぉっ!葵、寝たんじゃないの!?」


「目、瞑ってそろそろ寝そうって時になんてこと言うの!そ、それにキスしたでしょ!そういうのは私がちゃんと起きてる時にしてよ!」


 ぷんぷん怒っているようで嬉しそうという器用な表情の葵。寝てると思ったのにまだ完全に寝てなかったなんて。めっちゃ恥ずかしい。


「祐くん、もう一回キスして...」


「え?もう寝るんじゃないの?」


「人の寝込みを襲おうとしたのに何言ってるの!それにさっきのせいで眠気吹っ飛んじゃったよ!」


 1つ言っておくが寝込みを襲おうとしたわけではない。これだけは分かって欲しい。

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