84話 Happy Birthday (2)
俺にとっては少し地獄で、葵には楽しかったであろう部活での誕生日パーティーは終わった。今は朝通った通学路を歩いて家に帰宅中。もちろん、葵の要望によって手は繋いだまま。
「んー、今日は楽しかった!みんなにお祝いしてもらって私嬉しかった」
「そっか」
葵がちゃんと喜んでくれるか少し不安もあったけど嬉しかったって言ってもらえるとこっちまで嬉しくなってしまうな。
「ありがとね、祐くん」
「え?」
「今日のパーティー、祐くんがみんなに言ってくれたんでしょ?そうやって春花ちゃんが言ってたから」
そんなこと言わなくてもいいのに雨宮さん!
「あはは。そうだよ。俺がみんなに葵の誕生日パーティーしよって言ったんだよ。そしたらさ、みんなすごい食いつきでね。みんな葵の誕生日をお祝いしたいのは同じなんだよ」
みんなに相談した時みんなやろうやろうって言ってくれた。俺はそれが嬉しかった。
でも、今日はこれで終わりじゃない。
「葵、今日の午後は空いてる?」
「え?うん、空いてると思うよ。どうしたの?」
「今から家の庭でバーベキューするんだって。俺の家と葵の家合同で第二次誕生日パーティーするってさ」
「ちゃんとお母さんたち私が誕生日って分かっててくれたんだ。でも最近お肉ばっかり食べてる気がするね」
それもそうだ。前、焼肉屋さん行って。次は打ち上げ。スイーツパラダイスにも行ったっけ。
「まぁ、良いんじゃない?美味しいものを食べれるのって最高だし」
「祐くんの言う通り!今日もしっかり食べるぞ!それで、今日の午後ってこのバーベキューのこと?」
お、葵鋭い。俺が意味した午後っていうのはバーベキューの後のこと。ただそうすると鈴に言ったようにみんなでお祝いはバーベキューの時だけになってしまう。
でも鈴も、そしてまさかの葵の両親もいいよって言ってくれた。ちゃんと葵にバレないように電話して事情を話しました。それどころか最高とまで言われた。
部活中にふと考えついてしまったのです。ちゃんと部活に集中していたんだけど、「ふと」そう、「ふと」思いつきました。
「いや、バーベキューが終わった後なんだけどさ、俺と2人でちょっと出掛けない?」
「え?それは祐くんからデートのお誘いかな?」
「そうなんだけど、そうやって言われると恥ずかしいというか...それでどうかな?」
「はい!もちろん一緒に行きたいです!」
そう言ってとびっきりのを笑顔を見せてくれる葵。この笑顔は何回見ても見飽きない不思議な力がある。
「それで何時くらい?」
「電車で行くところなんだけど5時くらいにまた葵の家の前でいい?」
「分かった。楽しみにしてるね」
ちゃんと約束を取り付けることはできた。葵、喜んでくれるかな。
「さぁ、祐くん家までダッシュだよ!お肉が待ってる!」
急に走り出す葵についていくように俺も走る。でも走ってる間も手は絶対に離さなかった。俺の横で走る葵の顔はとても楽しそうで少しあった俺の喜んでくれるかどうかっていう不安は一気になくなっていった。
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