82話 誕生日だよ

 今日は7月31日。そう、葵の17歳の誕生日。なんだけど...部活がはしっかりある。でも部活を休むわけにもいかないのでちゃんと行くことにする。それにあることを考えているから。


 でも、葵の誕生日を最初に祝うのは俺が良いな。いや、葵のお母さんたちが最初かもしれない。


 今は部活に葵と一緒に行くために玄関前で葵を待っているところ。プレゼントは家に帰ってきてから渡すことにした。


 程なくして葵が出てきた。いつも通りのハードボール部の練習服。やっぱり帽子の葵って似合うんだよなぁ。


 とっとっとっと、葵が俺の方にやってきた。その仕草は少し年下っぽい感じもしたけど今日から俺の誕生日までの数ヶ月間は葵の方が年上になる。ぜんぜんそんなの気にしないけど。


「おはよ、祐くん。今日もがんばろうね!」


「うん。おはよ葵。それと、誕生日おめでとう!」


 その瞬間葵がはっとしたように口を手で押さえた。


「そうだった!今日私誕生日だった!」


 いやいや、葵。自分の誕生日くらい覚えておこうよ。でもと言うことは葵のお母さんたちもまだ言ってないってこと?


「祐くん私の誕生日覚えててくれたんだね」


「そりゃもちろん覚えてる。忘れるわけないじゃん。でも葵が忘れてるなんてな」


「忘れたわけじゃないんだけど、今ずっと祐くんと居れるってことに気が行き過ぎちゃって。すっかり忘れてたよ」


「そっか。それは嬉しいかも。それじゃ行こっか。そうだ、今日は誕生日なんだし葵のしたいことなんでもしてあげるってのはどうだ?」


「良いの?私、すごいお願いしちゃうかもしれないよ?」


「大丈夫。今日の誕生日は一年に一回なんだから。とびっきりの誕生日にしてあげたい」


「祐くん〜ありがとう!なら遠慮せずどんどんしてもらおっと!」


「おう!どんとこい!」


 たった20分のこの登校時間。自転車で行けばもっと速いけどこうやって横に2人並んだ登校したいからって自転車じゃなくて歩きで行ってるんだっけ。


 そして今、俺の左手は葵と繋がっている。葵が俺にしたお願いの1個目。しっかり指と指まで繋いだいわゆる恋人つなぎ。


「えへへ。誕生日っていいね。こうやって祐くんをたくさん感じられるよ」


 俺としては多分この夏の暑さのせい以外で汗がやばいんだが。通行人とかもチラチラみてくる。すれ違ったおばちゃんには「幸せそうだねぇ」とか言われる始末。


 まぁそんなこんなで学校にやって来た。まだグランドに部員たちは出ていない。そりゃ俺があることを言っておいたから。



「おはよー」


 パンパンパン!!


 部室のドアを開いた瞬間クラッカーの音が響きわたった。


「葵ちゃん!」


「若宮ちゃん!」


「「誕生日おめでとう!!」」


 昨日、鈴と喋った時に思いついた。サプライズでみんなと葵の誕生日を祝って驚かせようと。俺がそうみんなに言ったら、みんな快く快諾してくれて準備をしてもらった。



「ささ、お姫様は王子様が連れて来たし、誕生日パーティーをしますかね」


「みんな、ありがとう!私とっても嬉しい」


「それじゃ、かんぱー...」


「祝うのはいいがそれは部活が終わった後にしろよ」


 乾杯の直前、先生が来て乾杯のお預けを食らってしまった。用意したお菓子はクーラーボックスに入れておきました。



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