81話 誕生日イヴ

 葵に渡すプレゼントを買って俺は家に帰ってきた。ちなみに帰る時も家に着く5分前くらいからちゃんとマスクとサングラスをつけた。する必要なんてないんだけど雰囲気を味わってみたかったんだよ。


 家に帰ってすぐに買ってきたプレゼントを葵に見つからないように隠した。ちゃんと明日渡したいしね。


 今日もカーブの試合を観るために葵が来るだろう。明日ちゃんと渡すためにしっかりしないと。早く渡したくてしかたない。葵の喜んでくれる顔を早く見たい。


 でもガマン、ガマン。今渡しても喜んでくれるかもしれないけど明日、とびっきりの誕生日にしてあげたい。



 ◆◆◆



 私は祐くんへのプレゼントを買って家に戻ってきた。前、祐くんと夢シティ行ったけどやっぱり1人で行くのはちょっと寂しい。今はずっと横に祐くんが居てくれたから。そんな幸せが当たり前になってる。


 買ってきた物を自分の部屋に置いてと。あ、もう6時なっちゃうじゃん。カーブの試合が始まっちゃう。祐くんの家いこっと。


 でも、いつプレゼントのことを口にしちゃうか分からないから気をつけてないとね。祐くん喜んでくれると良いなぁ。



 ◆◆◆



 もう、夕方の6時になった。俺の横にはいつものように葵が居て一緒にカーブの試合を観戦している。最近は葵一家が夜になると俺の家にやって来て一緒に試合を観てる。日替わりでお母さんたちが晩ご飯を作ってくれてる。


 それでいつものように試合を観てるはずなんだけど…なんかぎこちない。横に居る葵と会話が弾まない。俺の肩にコテンと頭を乗せてチラチラ俺をみてくるけど何も言ってこない。どうしたんだ?


 でも俺も葵と喋ったら今日のこと喋ってしまいそうだからほんとはたくさん喋りたいけどこのままそっと横に居るだけにしよう。



 試合も観終わった。3対1でカーブが勝った。さて、いつもなら俺の部屋にいって勉強したり、本読んだりしてるんだけど今日はこれ以上葵といると本当にプレのこと喋ってしまいそうなのでおやすみと言って帰って貰った。


「鈴、明日は葵の誕生日だけどどうしたら良いと思う?」


 俺が鈴に明日どうしようか聞いてみたら鈴に、にまぁとされた。


「なるほど。今日のお兄ちゃんはそう言うことだったんだね。2人ともほんとお互い好きすぎか!」


 なんか鈴に言われたけどよく意味がわからない。今日の葵はちょっと変だったけど。


「それでどうしたらいいと思う?」


「お兄ちゃんの好きなようにするのが良いよ。葵ちゃんはお兄ちゃんが誕生日祝ってくれるだけでもすごい嬉しいと思うよ?」


「なるほど。了解した。それで鈴。明日は少なくとも午後からは家いてくれよ。みんなでお祝いするからな。葵をびっくりさせてやろうぜ」


 鈴と2人でふふふと不気味に笑っていた。明日は葵の誕生日。


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