70話 突撃隣の葵さん

 シャワーも浴びた。パジャマも着た。今はリビングでソファーに座ってグデーッとしてたけどそろそろ寝ることにする。まだ夜の10時過ぎ。いつもよりめっちゃ早いけど今日はもう寝るしかない。


「鈴おやすみ。最後だから電気消してよ」


「わかったー。じゃあおやすみお兄ちゃん。今日はおめでとう!」


 サムズアップしてそう言ってくれた鈴。ほんとなんていい妹なんだとか思いながら自分の部屋に戻った。



 ◆◆◆



「だぁ!」


 ボフッと自分のベットにダイビング。そして即行でクーラーのスイッチを入れた。夏の暑い部屋にクーラーは必須。スポーツマンだろうとそうでなかろうとなくてはならないと思う。


 部屋が涼しくなるまでは眠れないなとか考えつつベットでゴロゴロする。


「はぁ、今日俺死ぬのかなぁ」


 今日以上の最高の日なんて来るのかどうかってレベルで今日は最高だった。


「今日俺死んでもいいかも...」


 軽く目を瞑りながら呟いた。あぁこのまま寝てしまいそう。


 しかし、ここで俺の意識を思いっきり呼び覚ます声がした。


「祐くん!死んじゃダメだよ!私と一緒にいてくれるんでしょ!?」


「え?葵!?」


 バーンと俺の部屋の扉を開けたのはまさかの葵だった。前と同じように可愛らしいパジャマを着て俺と部屋へとやってきた。でもなんで?


「あ、お兄ちゃん。葵ちゃんがなんか来ちゃったから家入れちゃった。合鍵持ってるって言ってたからびっくりしちゃったよ。じゃあ、後はお二人で楽しんでね」


「あ、ちょっと鈴!」


 鈴は俺の声に反応することなくそのまま自分の部屋に行ってしまった。


「ちょっと祐くんもう死んでもいいってどう言うこと?」


「あれは言葉の比喩って言うか、なんて言うか。幸せすぎてちょっと言ってみたかったセリフを言っただけだよ。まだ葵と居たいし死にたくはない」


「なら良かったよ。私びっくりしたんだからね」


「びっくりするのはいいんだけどなんで俺の家来たの?」


 いつ来てもいいとは思うけど今日は葵も疲れてると思うんだけど。まさか二次会するとか言わないよな?


「今日は祐くんにマッサージしてあげようと思って来たの。試合の時はいつもより疲労も溜まるしね。だから私がマッサージしてあげて祐くんを癒してあげようと思ったんだ」


(本当はお母さんに言われて来たんだけど祐くんにマッサージしてあげたいのはほんとだし、次から言われなくても行こっと)


「いや、葵。俺は大丈夫だよ。身体はちゃんと鍛えてるしアイシングとかもしっかりしたから」


 さっさと寝ようと思ってたのにこれじゃ寝れないじゃん!マッサージしてくれるのは嬉しいけどまずい感じもする。


「ダメだよ祐くん。そうやって軽く考えてる人が1番怪我とかしちゃうんだよ。ほら、遠慮しないで?ちゃんと気持ちよくしてあげるから。おいで?」


 両手を広げて待ってる葵。さっきのセリフが破壊力ありすぎた。年下に言うセリフな感じもしたけどなかなか素晴らしかった。


 まだ今日と言う最高の日は続くの?と疑問にも思ったが続くらしい。


「じゃあ、少しだけお願いしようかな」


「少しだけなんて言わずにフルコースでしてあげるからね!」


 うつ伏せに寝た俺に葵は容赦ない言葉をかけて来た。


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