58話 いやな予感
なんとか落ち着いた葵。まだまだ焼き肉の時間は終わらない。
「祐くん、あーん」
大人しくなったけどめっちゃ甘えてくる葵。やっぱり親の前でこれは俺の精神をゴリゴリ削られているからやめたいけど、葵のこの嬉しそうな顔を見たら仕方ないなって思ってしまう。
「ほんと祐くんの焼いたお肉美味しいね。やっぱり愛情が入ってるからかな?」
ほら、こんなセリフ言ってくるんだもん。もうやばいじゃん。
「そうだな。葵のは愛情、増し増しだからな」
「え!お兄ちゃん私のは!?」
なんでここで鈴が入ってくるんだよ!と言う目線を送るとペロッと舌を出して言った。
「冗談だよ。お兄ちゃんしっかり私にも込めてくれてるもんね」
「ん、まぁそうだな」
そんなこんなでこうやって楽しい時間を過ごしてもいずれは終わりが来るというもので。
「こういう時のアイスってまじでうまいよね。なんでだろ」
「やっぱり雰囲気とかなのかな?お皿とかもいい感じだよね」
「あねな〜。それあり得るな」
お肉類を食べ終わった俺たちはデザートタイム。俺はやっぱりバニラアイス。葵も俺と同じやつにしたようだ。鈴は...まさかの塩キャベツをパリパリ食べてた。まじか鈴よ。
「やっぱり葵を任せられるのは祐輔くんしかいないんですよぉ〜」
「そうですよぉ。ぜひお願いしますぅ」
「それは嬉しいわぁ。祐輔喜びますぅ」
横のテーブルに目を移すとお酒類を呑んで出来上がった大人が3人いた。うちの親父は運転があるから呑んでないっぽい。飲酒運転はダメだからね。ただ話す内容がねぇ。もっと他の内容があるでしょうが。
「親父。こっちは食べ終わっていつでも帰れるぞ」
「そうか。こっちもお開きだな。ちょっと母さんどうにかしてくれ」
「はいよ」
◆◆◆
「あー食べた食べた。やっぱり焼き肉って最高だ〜」
「私もお腹いっぱいだよ。明日まだ試合あるのに大丈夫かなぁ」
帰りの車で家に向かってるところ。大人陣は寝てしまった。本当に大丈夫かな。
「鈴、良いもの見せて貰っちゃった。2人のイチャイチャもうこっちが恥ずかしいよ。お兄ちゃんのあんなの見たこと無かったしね。葵ちゃんも可愛かったよ」
「あああ!やめて鈴ちゃん!」
「まぁまぁ。でも明日決勝トーナメントなんだね。2人とも頑張ってよ!」
そうだ。明日はまだ試合があるんだよな。この雰囲気からは考えれないけど。
「頑張るよ鈴ちゃん!でもそっか...」
葵が感慨深い表情を浮かべる。何かあったのか?
「どうしたんだ葵?」
「祐くんと離れちゃったのも確かこの夏の県大会だもんね...小学生の部のね。ちょっとあの頃のこと思い出しちゃった」
その時、急に心が締め付けられるように苦しくなった。でも理由が分からなかった。今の俺に不安要素なんてない。ならこの感じはなんなんだ。
「どうしたの祐くん?」
「え?あぁ、なんでもないよ。ちょっと食べ過ぎちゃっただけ」
「気をつけてよ祐くん。明日まだ試合あるんだからね」
返事を返したが結局自分の胸に残った違和感は消えなかった。明日何か起こるなんてないよな?
俺は横の葵を見ながらそう思った。
こんにちは 九条けいです。更新が遅れてすみません。ただ今学校のテスト週間なので書く時間があまりありません。土日は更新しますが平日の更新は頻度が少なくなります。よろしくお願いします。
いつも応援、コメントありがとうございます!レビュー、応援、コメントはとても励みになりますのでどうぞよろしくお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます