41話 文化祭の準備は大変だよ

 そして2日たち今は金曜日。明日から文化祭だ。


「神子戸くんごめんなさい。予定よりかなり遅れてしまって。今日だけで間に合うかしら?」


 中学の時はかなり時間がかかった。これから俺1人で20分くらいの動画を作るならたぶん丸2日はかかるかもしれない。だって素人だもん。


「間に合わないかもしれません。言い方は悪いですけど雑にするなら行けます...でもそれはしたくありません」


「そう」


 佐々木生徒会長が考え込む。



「なら日曜日の最後生徒全員が体育館に揃うところならどう?」


「それならいけると思います」


「なら本当に申し訳ないのだけれどそこでお願いします」


「わかりました」


 そういって佐々木さんからメモリを受け取った。



 ◆◆◆



 文化祭初日。徹夜して動画編集にあたったけれど5分の1くらいしかできなかった。


 今は葵と登校中。いつもは楽しい葵との登校なのに今日はテンションが上がらない。


 言わなければいけないことがあるから。


「ごめん葵。今日の文化祭イベント一緒に見られない」


 初日は学年の展示物を紹介したり劇を観たりして体育館で過ごすことになる。席もバラバラでいいので葵と見ようと言うことになってた。俺の仕事はなかったから。


 でも編集が終わってない。今日の夜やるだけじゃ絶対に終わらない。2日目一緒に回るためにも初日みんなが劇を見る中俺はムービーを作らないといけない。これは俺の仕事。


 葵の顔が暗くなっていった。でもすぐ顔を明るくして


「それなら仕方ないよね。明日は一緒にお店回ろうね」


 俺を笑顔で送り出してくれた。



 ◆◆◆



「文化祭初日はうまくいったよ」


 今俺は佐々木さんから今日の出来を聞いていた。俺は最初の開催行事以外は生徒会室にいたのでどうなったかわからなかったから。


「そうですか。明日もありますしね。楽しみです」


 葵は楽しんでくれただろうか。楽しんで貰えたなら嬉しい。


「本当にごめんなさい」


 佐々木さんが俺に謝る。何か失敗でもあったのだろうか。


「え?」


「今日、あなただけ文化祭に参加できなかった。同じ生徒会で私たちの方が年上なのに、私たちだけが楽しんでしまった。私がもっとパソコンの技術があれば...」


 佐々木さん、俺が参加できなかったことに罪悪感があるらしい。


「大丈夫ですよ。佐々木さん。たしかに文化祭、体育館でみんなと一緒にいられませんでしたけど、ここで動画を作っているとき楽しかったんです。うまくできたら喜んでくれるかなとか思うと。俺も楽しかったし、文化祭に参加してないわけではないですよ」


「そっか。君は優しいね」



 ◆◆◆



 今は夜の11時。俺は未だパソコンの前にいた。


「あと5時間もあれば終わるな。一回流して見ても充分間に合いそうだ。明日は葵と回れるな」


 今日徹夜すれば明日は葵と文化祭を回れるだろう。頑張った俺を祝福したいくらいだ。


「ん?」


 俺はフォルダの中に今回の動画の物語とは違う内容のものがあるのに気づいた。


 それを見た俺は


「ごめん、葵。明日も一緒にいられないかもしれない」


 葵に1番したくない内容のメールを送ってしまった。

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