40話 文化祭の準備だよ


「だぁ〜!」


 葵との旅行も終わって今日は火曜日。俺たち十二条高校の文化祭週間に突入した。


 うちの学校は7月に文化祭が行われる。夏休み以降しっかり受験勉強に集中出来るようにと言うことだ。さすがは進学校といったところだろうか。でも、文化祭が始まるまでの4日間は授業はなく全てを文化祭につぎ込むことになる。


「とりあえず、全部のクラスの模擬店と出し物は決まりましたね」


「ええ。今年もこの地獄だけど楽しい文化祭週間がやってきたわよ。じゃあ、みんな各クラスに決まった事を報告して来て」


 うちの生徒会長の佐々木希(ささき のぞみ)さんが指示を出す。


 うちの文化祭は学年で1つ展示物。クラスで出し物か、模擬店をすることになっている。それもこの文化祭週間以外での展示物、クラスの出し物の製作は禁止になってる。同じ時間でのクオリティの勝負なんだとか。


「われわれ生徒会は学年の展示物には参加しません。生徒会での出し物が今年はかなり大掛かりだからね」


 うちの生徒会は生徒会長、副会長2人、会計庶務の4人。俺は会計庶務で他は3年生がやってる。


「文化祭実行委員が学年展示物とか他の催しを考えてくれてる。だからこそ私たちも手は抜けないわ」


 ここまで言ってるけど俺は何をするか知らない。なんか怖いことにならなければ良いけど。


「では、今年生徒会での出し物を発表するね。今年はオープニングムービーを作ろうと思うわ」


 これはまた大変なものを。毎年運営だけでかなり大変だからそういうのはやらなかったのに。


「脚本は私がもう作ったの。出演する人も許可は得てる。副会長の2人は他のイベントの準備。神子戸くんは経理の仕事をお願い」


「わかりました」


「あ、忘れてた。神子戸くんは動画の編集もお願いね」


「は?」


「この生徒会で編集できるのあなただけでしょ?中学校の時の文化祭の動画も良かったわよ」


 やばい。まじでめんどくさいやつだ。俺だけ仕事が多すぎる気がするんだが。


「私たち3年生は学年展示も参加するから。最後だから参加させてください。大変なのはわかってる。でもお願いします」


 生徒会長と副会長が俺に頭を下げる。自分勝手だなぁとは思うけど最後の文化祭をみんなで楽しんで欲しいとも思うし、


「分かりました。出来るだけ頑張ります」



 ◆◆◆



「あぁ、やばいよ〜」


「大丈夫?祐くん」


 お昼休み、いつも通り外のベンチで葵とお弁当を食べる。葵と喋っているうちに今日あったことを言ってしまった。


「たぶん大丈夫。なんとかやるよ」


「でも無理はしないでね。何かあったら私も手伝うから」


「ありがとう。今年の文化祭は葵と一緒にまわりたいから頑張るよ」


「楽しい思い出を作ろうね!祐くん!」

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