37話 ホテルの朝


「んー」


 今は朝の6時。いつも私が起きる時間。祐くんは私の横で気持ち良さそうに寝てる。私は昨日ずっと祐くんにくっついて寝たの。とっても最高だった。大きい背中とか腕の筋肉とか。


 でもやっぱり好きな人の横に入れるのが1番嬉しいかな。


(どんな私でも好きだよ)



 昨日祐くんが私に言ってくれた言葉。ちょっと自分勝手かも知れないと思った私にかけてくれたこの言葉。


「私って幸せ者だなぁ」


 大好きな人が私のことをここまで言ってくれるって本当幸せ。


 祐くんの寝顔とってもかわいいからほっぺつんつんしてみよっと。


 いつもキリッとしてる祐くん。なのに寝顔はとってもかわいい。なんていうギャップなの!


「あおい」


「え?」


 まさかほっぺつんつんしてたのバレちゃった?


 祐くんの方を確認したけどまだ寝てた。寝言かな?今、祐くんの夢に私が出てるのかな?すっごく気になる!


「だい...す...き...だから..もう離れないで...」


「祐くん...」


 私はちょっと祐くんからスペースを空けてたけどもう一度背中に抱きつく。


 そしてそっと耳元で呟いた。


「私も大好き。もう絶対祐くんの横から離れないよ。一緒にいようね」


 祐くんはそんな素振りは見せないけどまた私がどこかに行ってしまうと思ってるのかもしれない。

 でも大丈夫だよ。


 私はぎゅっと祐くんを抱きしめた。



 ===



「おはよう葵」


「おはよう祐くん」


 いい目覚めだ。起きたら葵の顔がある。幸せだな。


「そう言えば今日行くとこってどこ?」


 今日の日程は葵が楽しみにしててって言って教えてくれなかった。


「んふふふ。内緒!」


 どうやら教えてくれないらしい。まぁ葵が自信満々に言ってるし楽しみに待っとこう。


 その後、朝食を済ませホテルをチェックアウトした。


「さて、広島駅に戻ってきたけどどうするんだ?」


「とりあえずまたロッカーに大きいバッグは入れて、お金とか大切なものとかだけ持っていくよ」


「おっけ」



 ===



 ガタンゴトンガタンゴトン


「葵。俺行くとこ分かったかも」


「なら、回答をどうぞ!」


 今俺たちは路面電車に乗ってる。路面電車ってなかなか乗ることないから新鮮な感じもあるけど駅と駅が近すぎてすぐ止まるイメージになった。


「宮島ですね」


「んーーー!大正解!なんで分かったの?」


「だって路面電車どこでも180円なのに450円でこっち方面なんだからここしかないよ」


「なるほどね。そうだよ!宮島だよ!私シカに会うの楽しみなんだ〜。祐くんとお参りとかもしたかったの」


 なるほどなんかとっても葵らしいかも。服とか見に行くのかと思ったらファッションに興味ない俺のことを考慮してくれたのかもしれない。


「楽しみ〜。あとどれくらいかな!」


「もうすぐまだまだあるよ。焦らずゆっくり行こうね。」


 今日の、葵プランお出かけ、楽しくなりそうだ。

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