35話 お風呂はどっちから?
今、俺たちはとあるビジネスホテルのフロントにいる。今の時間は夜の9時30分。カーブの試合が終わって来たのでこんな時間になった。
「お部屋は702号室になります」
「「ありがとうございます」」
こんな時間にチェックイン出来るのはとても便利だと思う。本当ならチェックインしてから試合を観に行くのでも良かったんだけど、辞めておいた。理由はない。
「良い試合だったよね。でも、祐くんほんとあの場面で抱きつくのはダメだよ〜。私も我慢できなくなりそうだったんだから」
エレベーターで俺たちの部屋がある7階まで上がっていく。葵は俺の横腹をつんつんしながら俺に言ってくる。でも怒ってはいなくてとても照れている感じだった。
「7階です」
エレベーターのアナウンスが目的の階に着いたことを知らせてくれる。
===
ホテルの部屋はベットが2つでデスクなんかもなって結構広かった。
ここで葵と2人で泊まる?めっちゃやばいんだが。とりあえず汗かいてるしシャワー浴びないと…
「いやいやいや!やばいよね!」
「どうしたの?祐くん。何がやばいの?」
「なんでもないよ葵。そうだ。先シャワー浴びておいでよ。汗かいとるだろ?」
「祐くんも汗かいてるでしょ〜?私は後でいいから祐くん浴びておいで」
「ダメダメ。女の子なんだから先入っておいで」
「 祐くんも今日疲れてるでしょ?私は大丈夫だから入っていいよ」
そんな言い合いを5分ほど続けたところでお互い疲れていたからかじゃんけんで決めることにした。
「「じゃーんけーん」」
「「ぽい」」
「私が勝ったから祐くんお先にどうぞ〜」
「だぁ!負けたぁ!仕方ない。お先にいただきます」
俺はじゃんけんに負けたので先にシャワーを浴びることになった。
(ふー。やっぱ気持ちいいわー。今日は疲れたけど、楽しかったなぁ。サヨナラホームランも観れたし...葵に抱きついてしまったし)
まだあの時のを思い出すと顔が赤くなる。気がする。
「上がったから葵も入っていいよ」
「あ、わかった。入ってくるね。でも覗かないでよ!?」
「わかってるよ!なんなら部屋から出とこうか?」
「うんん。祐くんはそんなことしないって思ってるから大丈夫だよ。じゃあ入るね〜」
===
(んー!やっぱり汗かいてたからシャワー最高ね。)
今日はとっても楽しかったな。野球観に行ったのに祐くんのことばっかり考えちゃった。可愛いとか言われたのはとっても嬉しかったし、プレゼント交換も楽しかった。
(今日はすっごく祐くんに甘えた気がする)
私は今日のことを思い出しながらシャワーを浴びる。今横には祐くんがいる。いやいやそんなこと考えちゃだめ!でも今日はホテルに2人きり。
だめよ葵。そんな軽率な考えは。もしキスとかするならあの場所じゃないと。祐くんとの思い出の場所。祐くんもわかってるっぽいしね。
===
葵が風呂に入っていった。一瞬キスしたいって思ったけどやっぱり今じゃない気がする。いや今じゃだめだ。
もしする時が来るのならそれは今じゃなくてあの場所だろう。俺たちの思い出の場所。あそこでファーストキスはしたい。
「って何考えてんだ俺」
「祐くん上がったよ」
「ああ、お帰りなのかな?」
「ふふふ。ただいま、祐くん♡」
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