30話 野球観戦に行こう(3)

 今はカーブの選手が打撃練習をしている。カーンと乾いたいい音をさせながら打球を飛ばしていた。


「いい打球飛ばすよなぁ、葵」


「そうだね。私たちももっと打てるようにならないと」


 今日の練習試合を思い出す。1対0で勝ったのはいいものの、全然打てなかった。ハードボールはピッチャー有利で打つのは難しいけど1安打さみしい。


「もっと打てるようにならないとなぁ」


「んもう!祐くんはピッチングに集中で良いんだよ!もっともっと祐くんの投げる球とりたいんだから!」


 うーん。俺ももっと投げたいけど、流石に全然打てないっていうのもいけないからなぁ。バットはしっかり振っておかないとな。


「祐くん!私グッズショップに行きたい!」


「お!なら行こうか」




 それなら人混みをかき分けてグッズショップにやってきた。ここは品揃えが最高で無いものはない。


「これ葵つけたら可愛いと思うんだけど」


「祐くんもこれ付けたらもっとかっこいいよ!」


 俺はシュシュ。葵はリストバンドを指差しながら言い合っていた。


「なら俺はこのシュシュをプレゼントする。あんまりこういうのやった事ないしね」


「なら私はリストバンドプレゼント!交換だね!」



 そう言って俺はたちはプレゼントされる内容を知ってるけどプレゼント交換をした。とても嬉しかったのは内緒だ。



 グッズも買い終わって俺たちは自分たちの席に向かっていた。指定席なので急ぐ必要はない。でも今日の席は内野のかなりいい場所なので早く行ってみたい気持ちが出てくる。


 葵の手を引いてようやく席に着いた。一塁側の砂かぶり席。この球場の名物だ。ほんと親父には感謝だな。


「いい席だねぇ祐くん。ここ私初めてだよ」


「俺もだ葵。やっぱりほんとに砂かぶりって感じだな」


「うん。祐くん。今日勝てるといいね」


 葵はそう言って俺の手を握る。そうだな。と返したが。球場ってこんな甘い場所だったっけ?




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