25話 お昼休み
さて、クラスのみんなに何故か祝ってもらってしまったことはさておき今は昼休みだ。俺はいつも弁当だ。両親が朝早くから仕事に行ってしまうので弁当は俺と鈴の交代制。今日は俺の当番だった。
「ゆ、祐くん。一緒にお弁当食べない?」
葵の一言でクラスのみんなが一斉に俺たちに向けられた。
すごく居づらい。前まで一緒に食べてた進は俺を置いて他の奴らと食べる準備してやがる。
(これはもう友情がないということなのか!)
と、アイコンタクトをしてみると
(せっかくだから若宮ちゃんと食べてこいよ。俺が自分の彼女と食べるのは家だけだけどな。ははは)
すごくイラッとする返答を貰った。そうだこいつもかなりラブラブなバカップルだった。人前ではいちゃつかないくせに俺の前ではかなりイチャつくタチの悪いカップル。
まぁ俺にも葵がいてくれるからいいんだがな。
「祐くんどうかな?もう他の人と食べる約束してる?」
俺が進との無駄な会話(アイコンタクト)をしてしまったせいで葵を不安にさせたかも知れない。
「そうだな。ちょっとこのクラスはダメだな。そうだ。中庭とかどう?木陰のベンチで食べよう」
「うん。いいと思う。そこで食べよっ」
中庭には誰も居なかった。まぁこの夏の暑い日に外で食べるやつなんて中々居ないか。けっこう良いんだけどな。涼しくて。誰かから見られる事もない場所だし。
「んー。いい場所だね祐くん」
「そうだな〜。ここめっちゃ良いな。初めて来たけど」
「じゃぁ食べよっか」
「「いただきます」」
俺たちは弁当を食べ始めた。うん。今回もうまく出来た感じがする。
風が涼しくて気持ちいい。横にいる葵に目を向けると、ちょうど風でショートヘアの髪が揺れてとても甘い香りがした。そして横顔がめっちゃ可愛かった。
「ん?どうしたの祐くん?」
「ん?あぁ。葵の弁当っておばさんが作ってる?」
「んん。私が作ってるの」
「へぇ。そんな美味しそうな弁当葵が作ってるのか」
葵の弁当はスポーツをしているだけあって少し大きめだけどそこに入ってるのは卵焼きや、タコさんウインナーといった女の子らしいかわいい弁当だった。
俺も鈴が弁当食べるのでかなりおかずは考えて入れている。
「そうなんだ。お母さんが花嫁修行だとか言っちゃって」
そう言って葵は顔を真っ赤にした。
「へぇ。おばさん気が早いんだな」
ちょっとこの話はマズイ。そんな話したら恥ずかしくてたぶんお互い喋れなくなる。
「祐くんのお弁当は祐くんのお母さんが作ってるの?」
話を変えてくれた葵ナイスだ。
「いいや。今日は俺が作ったよ。俺の母さんと、父さん仕事で朝いないからさ」
「そういえばそうだったねぇ。よく私の家で食べてたもんね」
「その節はありがとうございました。」
「全然いいよ〜。朝から祐くんといれて嬉しかったしね」
「そっか」
俺と鈴はよく葵の家で朝ごはんを食べさせてもらってた。親が朝ごはん代を払っていたらしい。葵が引っ越してからは流石に自分たちで作るしかなかったけど。最初なんて料理といえるものじゃなかったな。
「明日は鈴が作ってくれるんだけどね」
そんなことを言いながらほのぼのとした感じで弁当を食べていった。
葵が爆弾発言をするまでは。
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