24話 クラスメイト

 俺たちは部活の練習に行くために学校に行った。

 そこまでは良かったのだが、迂闊にも部室まで葵と手を繋いで行ってしまった。


 そこからはみんなから質問攻め。このリア充たちと同じになってしまった感がハンパない。


「どっちが告った!?」


「キスはしたの?」


「いいよいいよ〜!そう言うのちょうだいちょうだいもっと!」


 いろいろ言われたが無視しておいた。


「祐輔。良かったな」


「ああ、進のおかげってとこもあるな。進にはありがとうと言っておこうかな」


「いいってそんなこと。お前が頑張ったんだろ」


 風間進は葵に言ってくれたみたいだし感謝しとこう。こいつこんなにいい奴だっただなんて。今まで知らなかった。


「おい、今失礼なこと考えなかったか?」


「な訳ないだろ。進には感謝してるよ」


 鈴にもやられたけど、俺ってそんなに考えてること分かりやすいのか。


「祐くん行こう?」


「そうだな行こうか葵」


「おいおいキャプテン、若宮ちゃんにデレデレじゃないか〜」


 また変な声が聞こえたので無視して俺たちは先にグランドに出た。もちろん手を繋いで。




「やっとあの2人幸せになれたな」


「本当だよ。でもそうなったらあの2人本当に全国まで行くかもな」


「全国行けるように俺たちも頑張らないとな」


「ああ、ずっと夢見てたんだ。行こうぜ全国」


「頼むぜ。バカップル」


 部室での会話を俺たちが聞くことはなかった。




 次の日。俺は葵と待ち合わせして今は登校中だ。


「また1週間が始まってしまうのか」


「まぁまぁ。土曜日には試合もあるんだし頑張っていこっ」


「たしかにね。いまは葵が居てくれるから学校も最高に楽しいし」


「えへへ私もだよ祐くん」


 葵と楽しく喋ってたらもう学校についてしまった。ときどき視線を感じるけど気にしないとこう。


「あれ俺たちのクラスだけ静かだな?」


「そうだね。どうしたんだろ。いつもみんな騒いでいたりしてるのにね」


 俺たちは不思議に思いながらも扉を開けた。


「「おめでとう!神子戸君!若宮ちゃん!」」


「「え?」」


 俺たちは固まってしまった。クラスの全員がなぜか俺たちを祝福している。


「どうしたんだみんな。何かあったのか?」


「んもう!とぼけなさんなよ〜。若宮ちゃんと付き合い始めたんでしょ?」


「え?なぜそれを?」


 クラスのみんなはどこからその情報を手に入れたんだ。俺も葵もそんなことは絶対に言ってない。


「風間君がいろいろ教えてくれたんだ〜」


 かざまぁ!あいつは絶対許さん。


「ほんとよかったわね。風間君から2人の関係を知ってほんと感動しちゃって」


 クラスのみんながうんうんやってる。これは進には部活で千本ノックの刑だな。


「私と祐くんの関係って」


「そうそう!2人が幼馴染だとかあの約束とか!」


「っ〜!!」


 葵の顔が真っ赤だ。俺もやばい。


「あれみんなに言ったらお祝いしようとかなってね。神子戸君いつもすっごいみんなのために頑張ってくれてるし2人のエピソードすごいし、嫉妬とかより幸せにってね」


 まさかのクラスの男子までもが暖かい目で見てくれてる。


 ここまでしてもらったら俺たちも応えないと。俺は葵の手を少し強めに握る。葵もがっちり握ってくれる。


「俺たち2人は付き合い始めました。みんなよろしく」


「うええええーーいいいい!!!」


「キャーーー!!」


 クラス全体が揺れるくらいにみんなが叫んだ。


 なんだかんだでいいクラスメイトを持ったのかもな。


 ちなみにこの件は学校中に広まりこの学校の伝説となってしまった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る