23話 おはよう
「う。うーん」
あれいつもの見慣れた部屋じゃない。どこだ?思い出した。昨日葵の部屋で寝たんだった。あれ?布団とかが出てない。葵のベットの1組だけ。
「まさか」
俺は自分の左を見た。居た。葵が。すごく気持ちよさそうに寝てる。めっちゃ可愛い。
じわじわと記憶が鮮明になってくる。作戦会議をしていた俺たちは遊びに行った疲れとかあって今から1階から布団を運ぶのは無理だった。俺は床で寝るって言ったんだが葵が許してくれなかった。それで一緒に寝ることになったんだった。何もしなかった俺を褒めて欲しい。
「ん。あ、祐くんおはよう。えへへ一緒に寝ちゃったね」
すごい嬉しそう。俺は恥ずかしさが勝ってしまって葵を見ることができないので布団に包まって顔を隠す事にした。
「ん!祐く〜ん顔見せてよ〜」
「ぜったいいやだ」
今俺の顔ぜったい赤いと思う。葵に見せるわけにはいかない。
「もうっ!なら私からひっついちゃうからね」
「え?」
そう言った葵はもぞもぞ動いて俺の背中にぴったりひっついた。
俺なら心臓がバクバクしてるのが分かる。顔から火が出そうなくらい熱い。
1番やばいのは葵の存在があることだ。背中に葵の温もりを感じる。あったかい。
「むぎゅーーーーーーー!」
「はぁ!?」
心臓が飛び出るかと思った。急にむぎゅーは反則だろ!
「ああああ、葵!そ、そ、それはダメ!」
「んー。祐くーん。もっと祐くんといたい〜」
そっちがその気なら俺だってこうしてやる。
「よっと」
「ふえ?祐くん?」
「むぎゅーーーーーーー!」
俺は振り返って葵をぎゅっと抱きしめた。正面に葵の顔がある。葵は顔を真っ赤にして目を瞑っている。
「葵目開けてよ」
「いやだもんっ。私、今ぜったい顔見せられないよ」
どうやら葵は自分からひっつくのは良いけど俺からぎゅっとするのはダメらしい。
しばらくして落ち着いた俺たちは布団から出て朝食を取りに1階のリビングに降りる。
「おはよ〜お母さん」
「おはようございます」
「2人ともおはよう」
テーブルにはトーストとベーコン、スクランブルエッグ、サラダが置いてあった。
「「いただきます」」
「たくさん食べてね」
あ、すごい美味しい。シンプルな料理なのにすっごく美味しく感じる。
ご飯を食べ終わった俺たちはユニフォームに着替えて玄関に居た。
十二条高校は平日は制服での登下校が基本だが休日は部活の格好での登下校が認められている。なので俺たちはユニフォームで部活に行って、ティシャツで帰宅するのが普通だ。汗とかあるからね。
「いってきます」
「いってきます。お世話になりました」
「いってらっしゃい2人とも。頑張ってね。祐輔くん。また来てね」
俺たちは玄関を出た。朝日が気持ちいい。今から学校まで歩いて20分くらい。練習に遅れる時間でもないのでゆっくり行こう。
「ん。祐くん」
葵が左手を出してきた。
「ん」
俺は葵の左手をとって握った。葵も嬉しそうに握り返してくれた。それから学校に着くまで俺たちが手を離すことはなかった。
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