22話 お泊り

 俺はまた葵の家に戻っていた。今はバッグにパジャマとかを持っている。久しぶりだな葵の家に泊まるのは。


 そういえば小6のとき泊りに行って風呂入ろうとしたら、葵が入ってて大騒ぎになったっけな。


「それじゃ祐輔くん今日は葵の部屋で寝てね」


「スミマセン。おっしゃる意味がワカリマセン」


 俺が思い出に浸っていたところに来たのはまたも爆弾発言。葵の部屋で寝るとかやばいにも程がある。


「あの、俺リビングで寝ます」


「ダメだよ、祐くん。祐くんはお客さんなんだから。それに私たち付き合い始めたんだし...一緒に寝よ?」


「そ、そうだな。うんうん。分かった」


 葵が可愛すぎた。そう言われて断れるほど俺の精神力は強くなかった。


「あらあらあら〜。2人とも顔、真っ赤じゃない。

 ウブねぇ」


「んもう!祐くんもう部屋行こっ!」


「うん」




 葵の部屋に来たのはいいが、どうすれば良いんだ。小学生のとき葵の部屋なんて何回も入った。だけどそれ以外の女の子の部屋なんて入ったことないし。引っ越して来て少ししか経ってないけど葵の部屋は部屋だし。


「あ、これあの試合の後の写真?」


「そうだよ。私たちが離れる前のあの試合の写真」


 俺が見たのは葵の机の上に飾ってある1つの写真。玄関で見たみんなの集合写真じゃなくて写っているのは俺と葵の2人だけ。


「この写真を見て私ずっと頑張って来たの。また2人で同じユニフォームを着て、背番号1番と2番を背負ってグランドに立ちたかったから」


「葵」


 それは俺だってずっと思ってた。また葵とハードボールしたかった。


「大丈夫だよ葵。今俺はここにいる。もう離れることなんてないよ。俺と葵、2人でバッテリーだ。な?」


「うん。そういえば来週の土曜日練習試合入ってたよね。楽しみだな〜。祐くんと久しぶりの試合だ〜」


「そうだな。そうだ、サインもう決めとこうか」


「小学校の時ので良くない?私覚えてるよ」


 俺だって覚えてる。でもそういう訳にもいかないのだ。


「俺あの頃はストレートとカーブだけだったけど今はかなり球種あるよ?」


「え?で、でも前私とブルペンで投球練習した時あの2つしか投げてないよね」


「そりゃ秘密兵器だもんな」


「んもう!私には教えてよ!何投げられるのかな?」


「スライダー、ナックルカーブ、フォーク、シュート、チェンジアップ」


「すごい投げれるじゃん。えーどうしよう。そんなにサイン決めるの大変だ〜」


 葵は嬉しそうだ。俺は中学時代「七色の魔術師」とか言われてなからなストレーだけじゃなくて変化球も自信がある。


「ふふふ」


「どうしたの祐くん?」


 少し笑ってしまったのに気づかれてしまった。


「なんかこういうの久しぶりでほんと楽しいって思ってさ。試合前の作戦会議とか」


「そうだねぇ。よし!今日は作戦会議だよ!祐くん寝かせないよ〜」


「望むところだ」


 その後2人であーだこーだ言ってちゃんと寝たのは12時過ぎだった。


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