21話 お泊り前
葵からの急なお泊りに誘われてしまった。小さい頃はよくお互いの家に泊まったもんだけど、今日泊まるのはどうなんだろうか。もう夜も遅い。やっぱり迷惑だろう。
「いや、今日はもう遅いし急に泊まったら迷惑じゃないかな。俺の親もたぶんダメって言うだろうし」
「そっか。ごめんね祐くん。無理なお願いしちゃって」
葵がすごいガッガリそうにしてる。やばい罪悪感がめっちゃのしかかる。俺だってもっと葵と居たい。
「祐輔くん、あなたのお母さんお泊り良いって言ってたわよ」
「え?」
まったく葵の家に来てから驚きっぱなしだ。なんで俺の親が泊まって良いよって言うんだ。
「なんで俺の親が良いって知ってるんです?」
「もちろんこうなると思ってさっき電話しておいたのよ。あなたのお母さんも喜んでたわ」
ああ、自分の知らないところで色々情報が回ってるんですね。
「なら、祐くん今日お泊りできる?」
うん、葵の上目遣いでそれされたら嫌って言うわけない。されないでも嫌なんて言わないけど。
「そうだな。なら今日お世話になって良いですか?」
俺は1度服とかを持ってくるために家に帰った、何回も言うけど家は隣だ。
「お兄ちゃん!お帰りなさい!」
「ただいま、鈴」
家に帰ると妹の鈴が出迎えてくれた。ほんと鈴には感謝しかないよ。
「お兄ちゃん、葵さんと付き合い始めたんだって〜?」
鈴がにやにやしながら聞いてくる。ほんと鈴は鈴で可愛いな。俺シスコン入ってるかもしれん。
「そうだよ。今日から葵と付き合うことになりました。鈴のおかげだよ。いろいろアドバイスありがとな」
「ううん。鈴はちょっと言っただけだよ。今まで頑張ってきたお兄ちゃんだから葵さんも良いよって言ってくれたんだよ」
「鈴...ほんと鈴は俺の自慢の妹だな」
そう言って鈴の頭を撫でた。鈴は嬉しそうな顔をしてた。
「お兄ちゃん、これお泊りセットね」
「ん、なんでそんなの用意してあるの?」
「今日お泊りするんでしょ?」
「そうなんだけどさ、お母さんから聞いた?」
「うん。だからお兄ちゃんのお泊りセット用意してって」
なるほど。俺たちが何かしようとするとみんなに情報が流れるのね。
「そっか。ありがとな鈴。助かったわ」
「うん。楽しんできてね。明日帰ってきたらお話聞かせてね」
「おう。任しとけ。あ!明日9時から部活あった!」
「大丈夫。部活の物も全部入ってるよ」
「さすが鈴!ほんとありがと!」
やばい鈴がすごすぎる。何回感謝しても仕切れ
ない。
「じゃあ風呂だけ入って葵の家行くよ」
「わかった。お風呂まだお母さん入ってないからお湯は捨てないでね」
「了解」
◆◆◆
祐くんが家に帰ってから、私は自分の部屋にいった。リビングにいるとお母さんとお父さんがにやにやしながらいろいろ聞いてくるから。
でも私も顔のにやけが止まらない。結婚とかお母さん言い出すしほんとなんなの!
今日は今までで1番の日だった。ずっと好きだった祐くんに告白されて、私のことを好きって言ってくれた。その後たくさん私のこと褒めてくれた。もうにやけない訳ないよ!祐くんの前では我慢したけどね。
そういえば泊まるって言っちゃったけどまさか私の部屋に!?うそうそうそ!昔はよく泊まってたけど今いいの?
まぁいっか。祐くんなら大丈夫。ただキスはしたいなぁ。考えたらドキドキする。またにやけちゃう。
ピンポーン
あ!祐くん来ちゃった。
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