19話 観覧車とご両親


「俺の葵の好きなところね」


「うん!聞かせて欲しいな」


「そうだなぁ。やっぱりめっちゃ可愛くなったところ。葵を見たときはびっくりしたよ。小学校の時も可愛かったけど、今の葵って大人っぽさが入ってもっと可愛いい」


「う、うん」


 これ自分で言っても少し照れるな。でもここでやめるわけにはいかない。俺も自分がどう葵のことを思っているのか伝えたい。


「ずっとハードボールを続けてくれたこと。また、バッテリー組めるってなってほんと嬉しかったよ。気の利くところも好きだな。ほんとはもっと俺がしっかりしないといけないんだけどね。まぁ小学校の時からずっと好きだったからね。やっぱり葵と一緒にいるのが楽しくてさ。それが1番」


 ほんとは言いたいことめっちゃあるけどここら辺にしとこうかな。


「葵?顔赤いよ?」


 さっき言われたことを言い返してみる。ふっふっふやっぱりそうなるよね。


「すっごく嬉しいけど恥ずかしいかも」


「だろ?案外恥ずかしいよね」


 そう葵と話していると観覧車はそろそろてっぺんになりそうだった。


 いい景色だ。夏の7時は少し明るいけどやっぱりライトアップされた建物がきれいでまた来たいなって思う。


 さて、もうてっぺんだな。


「葵。俺、絶対葵を幸せにするよ」


 駅前で告白したみたいにもう一度葵の目を見てそういった。付き合い始めてまだ1日もたっていないのになんだか葵とはずっと付き合っている感じがする。それになんかプロポーズ見たいだ。


「私も祐くんを幸せにするよ」


 葵が返してくれた。そうやって狭い観覧車の中で2人で抱き合った。本当はキスしたいとか考えたけど俺たちには大事な約束があった。キスはその約束を果たした時したい。たぶん葵もちゃんと分かってる。


◆◆◆


 もう遊園地は出て今は葵と俺の家の前だ。あとはここでバイバイって言えば今日のデートは無事に終わるんだが、


「祐くん。私の家寄っていかない?」


 今日のデートは終わらなかった。


 葵の両親には小学生の頃ほぼ毎日会っていた。でもこっちに戻ってきて1週間、まだ一回も会ってない。会いたいといえば会いたいけど今会ったら結婚前の挨拶見たいじゃん。


 と、思っていたけどそう言えば葵と付き合い始めたの今日からだし会うなら今のうちにかもしれんな。


 なんとか結論を出した俺は葵の家に行くことになった。家は隣だけど。


「ただいま〜」


「お邪魔しまーす」



 葵の家に入ると玄関には小学生の頃の俺と葵の写真があった。たぶん試合のあとかな。ユニフォームの背番号は俺が1、葵が2だ。この写真が玄関にあるのは恥ずいな。


「おかえりなさい」


「おう、おかえり」


 葵の両親が出迎えてくれた。まさか今日俺が行くこと知ってた?いやそんなことないよね。


「久しぶりね、祐輔くん」


「お久しぶりです。葵のお母さん」


「あらあらあら〜。そんな言い方じゃなくて、

 お義母さんでいいのに〜」


「祐輔君。私のこともお義父さんと呼んでいいんだぞ?」


「え?」


 なんかお父さん、お母さんの意味合いが違う気がするんだが。なんでこんなこと言ってくるの?俺わかんない。


「葵と付き合い始めたんでしょう?うふふふ」


「は?」


 俺は間抜けな返事しか出来なかった。葵のお母さん爆弾発言。なにこれ俺今どんな状況?1対3のこのアウェー感。そしてなんで知ってるの?今日付き合い始めたばっかりだよ?


「葵?これはどういう?」


「私、嬉しすぎてお母さんたちに電話で言っちゃった♡」


 まさかの葵の密告。まぁこれは置いといて、この状況どうしよう。やっぱり素直に言うのがベストかな。


「葵のお母さん。そうですね。今日から俺は葵と付き合うことになりました」


 久しぶりの再会でこんな事を言うのってどうなんだろう。まぁ知られたならこう言うしかないけど。いきなり両親に挨拶とかハードル高すぎ。


「なら結婚はどうしましょうかねぇ」


「え?」


 この短時間で2度の爆弾発言だった。

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