17話 電車での会話
俺たちは遊園地に行くために電車に乗っていた。土曜日なのに人はあまり乗っておらず、俺たちが座った席の周りに人は居なかった。所要時間は30分くらいだろう。
今俺たちは席に座っている。もちろんては繋いだまま。手汗大丈夫かな?心配だ。
ハードボールとかの話をしながら10分くらい経った。突然葵が言ってきた。
「祐くん?風間くんから聞いたんだけど、祐くん私の好きな人、祐くんじゃないって思ったんだよね?それで身を引こうとしてたとか...」
進のやつ葵に言ってたのか。まぁいいけど。ここは葵にちゃんと言うべきかな。
「そうだな。俺は葵にはほかに好きな人がいると思ったよ。で、昨日鈴に言われて考えたんだよ。結論は、俺は葵が好き。葵にほかに好きな人が居るとしてもそれは諦める理由にはならない。自分の気持ちも言わないで何考えてんだって」
けっこうなことを喋ってしまった。
「そ、そうなんだっ。私もね、今日遊園地の観覧車で祐くんに告白しようと思ってたの。先に言われちゃったけど」
「それは悪いことしたかな」
「ううん。全然悪くないよ。すっごく嬉しかったから。たださ、やっぱりあの約束はもう無効だよ」
あの約束。
(次またバッテリー組めるようになったら俺と付き合って欲しい。俺はその時までにめっちゃすごいやつになってるから。)
(うん!私もそれまでにもっとかわいい女の子になってるから!)
((約束!))
これは確かに無効だよな。
「そうだな。あの約束は無効だよ。だってさ」
「今の葵が好きだから」
「今の祐くんが好きだから 」
言いたいことが被ってしまった。葵も同じなら俺はとても嬉しい。小学生の時により今の葵の方がずっとずっと好きだ。約束を守るために付き合うんじゃない。今の葵が好きだから付き合うんだ。
葵も同じなのか、俺の顔を見て嬉しそうに笑顔を見せてくれる。
「でも葵。有効な約束もあるぞ?」
「そうだね」
そう。俺たちのした約束はこれだけじゃない。でもこれは俺たち2人のだけじゃない。
「「ハードボールで全国優勝」」
残された全国大会への道は後3回。秋の大会。春の大会。そして最後、夏の大会だ。ハードボールは出来て新しく、普及のために大会が多く開催されている。後3回のチャンスでぜったい叶える。
「そうとなっちゃ頑張らないとな。頼むぜ?葵」
「うん!任せて。私は祐くんと、みんなと全国大会に行きたい」
喋っていたら目的の駅に着いたみたいだ。俺たちは手を繋いで駅を出る。全国大会優勝なんておおそれたことかもしれない。だけど葵となら、あのチームメイトならいける気がする。
葵とまた一緒に居られる時間も始まったばかりだ。全国大会への道も。中学のの時は全国に行けなかったけど今は横に葵が居る。なら行けない理由なんてない。
でも今日はハードボールのことを考えずただ葵と付き合えた喜びと今の楽しさだけを考えていたい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます