15話 告白


「葵。聞いて欲しいことがある」


 葵も俺の方をじっと見てる。やばい緊張する。こんな緊張初めてだ。それでも俺は今言わなければいけない。言うことは、シンプルだ。着飾った言葉を言うほど俺に経験はない。それでも想いが届くように。


「俺は葵のことが好きだ。俺と付き合ってください」


 葵の目を見て俺は言い切った。心臓はバクバクなってるし、汗も止まらない。葵はずっと俺の方を見てる。


「ほんと?」


 葵が聞いてきた。


「あぁ。ほんとだよ。俺は葵が好きだ。小学校の時の約束を守るために言っているんじゃない。今の葵のことが本気で好きだ」


 俺は自分の気持ちを伝えた。すると葵は俯いてしまった。やっぱり葵には他に好きな人が...


「祐くん」


 葵が顔を上げた。その目には涙が溜まっていた。


「私も祐くんのことが大好きです」


 その瞬間時間が止まったかと思った。でも実際に時間が止まるわけがない。葵の言葉は続いた。


「私も祐くんとお付き合いしたいです。お願いします」


 そう言って葵は俺に抱きついてきた。俺も葵を抱きしめる。ここは人前だとは分かっているけど、今回は許して欲しい。




「あの、葵さん?いつまでこうしてるんでしょう?」


「ずっと」


 そうしてまたギュッとしてくる。いつまでもこうしていたい。しかし、いつまでもしている訳にはいかない。葵もそれをわかってくれたのか名残惜しそうな顔をして俺から体を離した。本当に心臓がバクバクして持ちそうにない。


「私、祐くんと付き合うことができて本当に嬉しい。ずっと祐くんのことを想ってたから」


「俺もだよ葵。あの夏、離れ離れになっても思い出さない日はなかった」


 あれ、なんか俺すっごい変なこと言ってないか!?まぁいっか。


「もっと祐くんと話したいことはあるけど、電車来ちゃうしそろそろいこっ?」


「うん。そうだな。行こうか」


 そうやって歩きだす。葵はショルダーバッグを肩にかけてる。その葵の左手はフリー。


「葵。手、握ってもいいかな?」


「え?も、もちろんだよ!」


 葵が手を差し出してくれた。そして俺がその手を握ると、葵も握り返してくれる。やばい、最高すぎる。手を握るのはこんなにも素晴らしいものだったのか!世紀の大発見だ。


「ふふふ。」


「どうした葵?」


「祐くんって許可制なんだね」


「あはは...やっぱ何も言わない方が良かったかな」


 そりゃそうだよな。手を握る時いちいち聞く奴なんて聞いたことがない。


「んーん。私はとっても嬉しいよ。祐くんが私のことちゃんと考えてくれてるってわかるし。」


「そっか。なら良かった」


 なるほど。これはいいらしい。


「でも私は、祐くんにされて嫌なことなんて1つもないなら今度からは言わなくていいよ」


「う、うん。たださ、俺って恋愛なんて全くしたことないから、ちゃんと嫌なことは言ってよな」


「うん!私も恋愛初心者だから他の人がどうしてるかなんて分かんないけど、2人で居られるならもうそれだけで幸せだな〜」


 え?葵ってこんな最高に可愛い人だったの!?俺が思ってる100倍可愛いんだけど!やばい、俺の幸せメーターが破裂しそうだ。


「そうだな。俺も葵が居てくれればそれだけで幸せだよ。よし!電車来ちゃうし切符買おう」



 そして切符を買って来た電車に乗った。横には手を繋いだ葵がいる。



 神子戸祐輔。高2の夏、世界でいちばん好きな人と付き合い始めました。

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