11話 妹とショッピングモール2

 俺が不安になっていると鈴がハッとしたように言ってきた。


「お、お兄ちゃん、その格好めっちゃ良いよ!鈴でもちょっとドキドキするくらい...」


 なんか鈴が凄いことになってるぞ。俺の印象は服によって変わるのか。参考になるかも。とりあえず服は鈴に選んでもらったやつにするとしよう。本当鈴には感謝だな。


「ありがとな鈴。鈴に認められるのめっちゃ嬉しい」


 そう言って俺は鈴の頭を少しだけ撫でた。小さい頃からよくやっていたことだからお互い抵抗はない。と思う。


「えへへ。うん、お兄ちゃんとっても良いよ。だけどこれじゃ終わらないよ!髪も切ってサッパリするよ!」


 やっぱり鈴もいやではないんだろうな。良かった良かった。年頃の女の子はそういうの嫌だとも聞くしなぁ。


「鈴、髪はどこで切るんだ?」


 ちなみに俺はいつも家の近くの千円カットだ。あそこは速いし安いしとりあえず素晴らしい。今日もそこで良いくらいだ。


「お兄ちゃんがいつも行ってる千円カットじゃないからね?」


 サラッと心を読まれた気がするがここはスルーだな。さて、ならどこに行くんだろう?


「すぐそこだよ〜」


 そう言って連れてこられた所は美容院だった。え?美容院って俺が来るような場所じゃないよな!out of place (場違い)にも程がある!


「何してるの?早く入ろうよ」


「い、いやいやいや。ちょっと待って下さい鈴音さん。ここは美容院ですよ?」


「そんなこと知ってるよ。今日はここで切って貰おう!」


 いやマジですか。俺美容院とか初めてなんだけど。美容院って男も入って良いもんなの?


「大丈夫だよお兄ちゃん。最近は男の人も良く来てるんだって」


 また心を読まれた気がする。鈴には超能力か、なんかあるのか?それとも俺顔にめっちゃ出てる?




 いろいろ考えながらついに俺は美容院の扉を開けた。


「こんにちは〜」


「予約してないんですけど今大丈夫ですか?」


「はい。大丈夫ですよ〜。今日はどのようになさいますか?」


「あ、今日はこっちのお兄ちゃんの方をお願いします。髪型は私の方でいろいろ言いますから」


「分かりました。どうぞこちらへ」


 そう言われて俺は椅子に座る。さっきの美容師さんとのやり取りでなんか鈴が成長した感じがしてちょっと感動した。ということは黙っていよう。


「それでは今日はどのように致しましょう?」


「えーとですね」


 俺にはそのあと2人がどのような話をしていたか全く分からなかった。もはや呪文の唱え合いだ。


 俺はとりあえず大人しく切られっぱなしだった。それで全て終わったようだ。


「このような仕上がりですがどうでしょう?」


「完璧です!ありがとうございました」


 鈴は美容師さんにお礼を言っている。俺も言っとこう。


「こちらこそありがとうございます。お会計は3800円になります」


 やっぱ高いな!




 美容師さんに見送られて俺達は店を出た。


「うーん。やっぱりお兄ちゃん元がとっても良いからちゃんとしたら今よりもっとモテモテだよ。今もたまに女の子がお兄ちゃん見てるし」


「そう?俺ぜんぜん分からん。それよりもありがとな鈴。これで葵と遊びに行くのに良い感じになったよ。(ファッションとかはやっぱり分からんけど)んで、鈴にお礼がしたいんだけど何か食べたい物とかある?」


「んー。なら私駅前のケーキ屋さんのチョコケーキ食べたいな」


 おお。ちょっと高いやつ選んでくるじゃないか。でもそんなの全くをもって問題なし。


「よし!ならケーキ屋に行くぞ〜!」


「おー!」


 そのあと食べたケーキやっぱりめっちゃうまかった。

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