10話 妹とショッピングモール

 葵と明日遊園地に行く約束をした。さて、ここで困った事が起こった。着ていく服がない!!!!


 勉強は全国模試でも上位に入るくらい頑張ってるし生徒会役員として学校でも上手くやってるけど服のセンスは皆無なのだ。だって、学校は制服だし部活はユニフォームだし家ならティシャツでいいし。


 困った困った。あ、家ついてしまった。


「ただいま〜」


「お兄ちゃん!明日、葵さんとデートでしょ!」


 家の玄関を開けると妹の鈴音(すずね)がいきなり爆弾発言をして来た。


「なぜに鈴がそれを知ってるんだ?」


「さっき葵さんからラインでお兄ちゃんと遊園地行くんだけどどんな服が良いかなって来てたから」


「いや、いつの間に葵と友達なっとるねん」


「それよりも!お兄ちゃんあれだけ勉強とか出来るようになったのに服のセンス皆無だから女の子の鈴が選んであげる」


「なーるほど。それはめっちゃ助かるな」


「よし!そうと決まったらすぐ行くよ!」


 あー助かったな。本当に服無かったしな。これで葵に恥をかかせることはないだろうな。葵と鈴がラインしてたのは意外だったけど。




「お兄ちゃんどれくらいお金あるの?」


 今日来たのは家の近くにある「夢シティ」というかここら辺では結構大きめなショッピングモールだ。そして鈴に聞かれたことに答えよう。


「ざっと10万」


「え?お兄ちゃん泥棒か何かしたの!?」


「いやいや失礼な。俺は日頃ほぼお金は使わないから中学の時からずっと貯めてたんだよ。多分もっとあるかも。」


「それすごいのか中学、高校と何もしてないのか分からないよ。」


「今までずっとハードボールしかしてなかったからなぁ。」


 そうなんだよ。俺のチームメイトみんな彼女持ちのせいでそうそうどっか行くこと無かったんだよ。まぁちゃんと部活はまじめにやるししょっちゅう遊んではいるけどお金かかることをしなかっただけなんだがな。そう友情が無いわけではないのだ。ここで言わせてもらおう。


「んでまずどうすればいい?」


 やっぱりここは鈴に全て任せた方がいいよな。


「うーん。お兄ちゃん最近少し髪伸びたしまずは髪切りたいけどそれは最後でいっか。まずはここ行くよ!」



 鈴に連れられてショップに入ったのはいいがやはり何がいいのかは分からん。もはや着せ替え人形だ。


「そろそろいいの決まった?」


 そろそろ決まっただろうと鈴の方を向く。すると鈴は俺をじっと見たまま口をパクパクさせていた。


「どうした?鈴。やっぱり変かな?」


 とても不安になった。やはり俺にオシャレは向いてないのか...



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