9話 誘いたい



 今日は金曜日。1週間最期の日だ。今週はいろいろあったな。葵が転校して来て、また一緒にハードボールやれるようになって...ただ葵に好きな人が居るのは少し、いやかなりショックだったな。未だ葵のことを好きな俺は未練がましいのだろうか。うーん、分からん。


 とりあえず今日もちゃんと授業を受けなくては。勉強をちゃんとやり始めたのはそう言えば葵が小学校の夏転校してからだったな。葵との将来とか考えてめっちゃ勉強したんだっけ。お陰で小学時代の頭アホレッテルは剥がれたし今は高校1位までなったが、これから先なんの為に勉強するんだろう。


 いろいろ考えてたらもう放課後になっちまった。はやく部室行かないと。


「おつかれーす。あれ今日って部活休みだったっけ?」


「おいおい祐輔。昨日先生が言ってただろ?今日と明日は先生が出張で部活は休みだって」


「あぁ。なんかそんなことを言ってたな。すっかり忘れててたわ。サンキュー。ってならなんでお前はいるんだよ」


「あぁ。俺はちょっと彼女待ちってとこ」


 こいつは大森 比呂(おおもり ひろ)うちのハードボール部のファーストだ。そう前にも言った気がするがうちの部活は俺以外は彼女持ちなんだ。もういいんだ。さっさと家帰ろ。


「そっか。なら俺は帰るぞ。じゃーな比呂」


「おう。明日も部活はないからな〜」


「分かってるよ〜」


 俺は部室を出て校門へ向かっていく。


「祐くーん」


 後ろから声が聞こえた。この声は聞き間違える事のない声。葵の声だ。俺が振り返るとやはり葵がいた。


「どうした?今日は部活もないんだろう?まだ帰ってなかったのか?」


「むー!祐くんを待ってたんだよ!一緒に帰ろと思って」


 なるほど。そう言うことか。家が近いからってことだな。危なかった。一瞬ドキッとした俺がいたぜ。


「分かった。帰ろう。家が近いし、ありだな」


「え?」


(葵の心の中)やっぱり勘違いしてるんだ。


 葵が一瞬驚いた顔してたけどどう言うことなんだろうか。まぁいっか。


 ※帰り道


 うーん。何を喋れば良いのか分からん。葵も黙ってるしやっぱり俺と居るのはいやなのかなぁ。なんか泣きそうになってた。


「ね、ねぇ祐くん。明日って暇かな?」


「え?ん、んまぁ部活もないし暇と言えば暇だよ。」


 びっくりした〜。急に聞かれて焦った。


「明日、暇なら一緒に遊園地行かない?2人だけで。」


 ん?葵さんは何をおっしゃっているのでしょう。


「えっと。葵どう言うこと?2人で遊園地?」


「うん。私たちずっと離れ離れだったでしょ?だから今はたくさん思い出作りたいの。ダメかな?」


 ダメって言えるわけねぇーよ!


「そういうことならもちろん行くよ!」


「なら明日9時に駅までの噴水集合ね!」


「分かった」


 約束してしまった〜。俺たちにとって約束はとても大事なものだからな。絶対寝坊しないようにしよう。


「私、明日のお買い物して行くからここでバイバイでいい?」


「了解。気をつけてな」


「うん!楽しみにしてるよ!」

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